第4章
告白
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「な、何だよ」
「ちょっとおいで」

 言って、グイッと引っ張る。首を締め付けられるような格好で妙な声を出す寛也に目も暮れず、杳は立ち上がった。

「やっぱり一人で帰れるから。ありがと、潤也」

 言って、テーブルの上に置いてあったバイクのキーを手に取った。

 玄関へ向かおうとする杳を、潤也は慌てて追う。つかんでいた寛也を投げ出して。

「泊まっていきなよ。もう暗いし」
「平気だから、兄弟喧嘩しないで」

 玄関のドアを開けて外へ出る杳を追いかけて、潤也も外へ出る。足早に階段を降りるその後に続いた。

「本当に運転はまずいよ」
「大丈夫だって。安全運転して帰るから」
「でも、杳」
「心配しないで。オレ、平気だから」

 体調のことを言っているのだと思っていた。が、もしかしたら寛也との関係のことではないかと気づいた。

 寛也がいるから、泊まっていきたくないのだろう。

 潤也は仕方ないと、ため息をつく。

「明日は学校、来れそう?」
「うん。あいつらは潤也が片付けてくれたんだろ?」
「うーん…まぁ…二度と杳に手出しできない程度にはね」

 潤也の言葉に、杳はクスリと笑って。

「敵に回すと一番怖いのは潤也かもね」
「何だよ、それ」

 言うと、笑顔を見せる。少し元気になったように見える杳に、安心した。

「分かったよ、杳。それでもやっぱり事故ったりされると困るから、上からついていくよ」

 言って、天上を指さす。竜身体になるつもりだった。雲一つない晴天の星空を竜雲で隠して。

「ありがとう」

 言って、ふわりと笑う杳。

 その顔が、暗がりに、ひどく悲しそうに見えた。





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