第4章
告白
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「ヒロ、杳のことが大切なら、もっと注意した方がいいよ」
「俺の所為か?」

 潤也に言われなくてもそう思った。自分が一緒にいたなら起こらなかった事件である。

「誰の所為かって言ったら、襲った連中の所為なんだけど、ヒロと喧嘩別れしたって言う噂も、原因の一端じゃないかな」
「じゃ、俺にどうしろって…」

 握りこぶしをテーブルの上で握る寛也に、潤也はため息をつく。

「どうすればいいか分からないようなら、僕が後を引き受ける。少なくともヒロよりは上手く立ち回れると思うからね」

 そう言う弟を睨み上げるが、言い返さずに、すぐにうつむいた。

「勝手にしろ。俺にはもう…関係ねぇから」

 呟くように言って、顔を逸らした。その先に人影が見えて、寛也は固まった。

 寛也の様子に、潤也もその視線の先を見やる。

「杳…」

 潤也の部屋で休んでいた杳がそこに立っていた。一体どこから聞いていたものか。

「潤也、ごめん。迷惑かけて」

 言って、ゆっくり歩いてくる杳の白い顔は、いつもよの色が薄くて、明かにまだ具合が悪そうだった。

「大丈夫? まだ寝てていいよ」

 潤也が杳に椅子を勧めて、座らせる。杳は寛也と目を合わせることなく、潤也を見上げる。

「もう帰る」
「帰るって…バイク、乗れないだろ?」

 多分、運転はできないだろう。

「家には僕から連絡してあげる。だから、休んでなよ」

 寛也は二人のやり取りに苛々する気持ちが膨らむ。それは、嫉妬心だと気づいた。それと同時に、自分が何もできなかったことに対する自己嫌悪だった。

 その気持ちに我慢できなくて、口を挟む。

「…大将を呼んでやればいいだろ。あいつに連れて帰ってもらえよ」

 それが一番安全だと思った。

 が、その言葉に、潤也が睨んでくる。そんなことは百も承知で、翔に声をかけなかったのだ。

「ちょっとヒロ」

 潤也に襟首をつまみ上げられた。


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