第4章
告白
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 結局、杳には校庭のフェンスの向こう側で、こっそり見学させることにした。他の部員になるべく知られないようにと思って。

 それなのに。

「よお、結崎。お前、だれ連れてきてんだよ?」

 やっかみ半分、からかい半分の3年生が絡んできた。

 それを軽くかわして、寛也は素早く着替える。

 そこへ飛び込んできた1年生達。

「先輩、先輩、2年の杳ちゃん先輩が見に来てますよー」
「膝を抱えてチョコンと座ってる姿、メッチャメチャ可愛いすよー。とっとと練習、始めましょう」

 騒ぐ1年生に、寛也はこっそり苦笑する。まるっきり見てくれに騙されていると。

 寛也は、その1年生達が騒いでいる間をかき分けて外へ出る。

「じゃあ、準備運動に校庭10周な」

 ギョッとするようなことを言う寛也に、下級生達の元気な声が返ってくる。

「もう済ませました。校庭を走るとフェンスの前も通るでしょ? 20回程、回ってきました」

 言って、杳のいる方向を指さす。

「結崎先輩、走るなら付き合いましょうか?」

 元気者達の集まる陸上部の中でも、1年生達は特に元気が有り余っているようだった。その頭を1つずつ小突いて、寛也は校庭に飛び出した。


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