第4章
告白
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「さて。帰るか」

 言って寛也は大手を振って自転車置き場へ向かおうとする。杳を送っていくつもりなのだが、その背に声がかけられた。

「ヒロ、カバンは?」

 手ぶらのままの寛也を訝しがる杳へ、ニッと笑って見せた。

「お前、送るだけだから。俺、これから部活」

 杳はキョトンとする。

「ヒロ、部なんていつ入ったの?」

 毎日毎日、授業が終わると、とっとと帰宅していたと杳は聞いていた。潤也の話では、自分が家に帰ると、必ず寛也の鞄は残っているのに、その姿はどこへ遊びに飛ばしたものか、跡形もなく、いつも呆れていたのだと。それが部活動などしていたとは、つゆも思わなかったのだ。

「俺、1年の時から陸上競技部」
「はあ?」

 素っ頓狂に聞き返してしまう杳に、寛也は困ったように眉を寄せる。

「変か?」
「変…じゃないかも知れないけど…意外」
「俺、足、速いんだぜ」
「でもヒロの部屋、サッカーボールあったし、貼ってたカレンダーも、あれ、どっかのチームだろ?」
「どっかのって…」

 杳がスポーツに興味のないことが良く分かる言葉だった。


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