第3章
魔手
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 寛也は道具箱をしまって、教室を出た。慌ててついてくる小早川。

「いいじゃん。どうせお前、フリーだろ?」

 ずけずけと言ってくれる。

「悪かったな」
「気にいらなきゃ、すぐ次が来るぜ。結崎、もともと素材はいいんだし、男気あるし、背もあるし」
「あのなぁ」

 寛也は立ち止まって、小早川に面と向かう。

「俺、あの時みんなの前で杳にキスしてんだぞ。何でそれで女が寄り付くんだよ?」
「だってあれ、本当はしてねぇだろ?」

 事もなげに返された。寛也としては驚く。何故ばれたのかと。

 その寛也の表情を読み取って、小早川は笑う。

「あれだけ隠せばな、かえって怪しいって。お前、葵が嫌がってたの知ってたし。ま、俺も言い出しっぺだから、悪いことしたなって思ってたけど、お前、うまくやり過ごしたじゃねぇか。学年全員だまして、天罰までくらって」

 落雷は、ただの嫌がらせだったが。

「そう言う奴ってな、女は放っとかねぇんだって。ま、お前の本命が葵だってんなら、話は別だがな」

 伺うような小早川の視線から、思わず目を逸らす。

「分かったよ。行きゃいいんだろ」

 小早川が横でため息をついているのが聞こえた。


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