第2章
使者
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「無様だったね」

 ズボンの埃を払っている佐渡にそう声をかけたのは杳だった。もう、口も利いてもらえないものと思っていたので、驚いて見つめてしまった。

「もっと頑張ると思ってた」
「この間、結崎に殴られた時に肩をぶつけてな、痛くて投げられねぇんだよ」

 嘘か本当か区別のつかない佐渡の言葉に、杳は呆れたように返した。

「そんな状態で良く頑張ったってほめてもらいたいの? ばかじゃない?」

 そしてくるりと背を向ける。

 佐渡はその背に触れようとして、パシリと何か電流のようなものが走るのを感じた。何だろうかと思って見つめる手。その間に杳はとっとと人込みの中へ姿を消した。


   * * *



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