第1章
予兆
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「よし。じゃあ、質問のある奴?」
クラスのみんなに向かって聞く。
と、一斉に手が挙がった。
委員長が杳の顔をチラリと見やって、ニヤリと笑う。
すごく嫌な奴だと思った。
「じゃ、最初に手が挙がった沢田」
「はいはいっ。誕生日と血液型を教えてください」
「え…」
その女子生徒の勢いに一瞬ひるんでしまうが、そんな様子を面白がっているようにしか見えない委員長に、そんな弱みを見せたくないと思った。
「2月27日。A型」
答えると、あちこちで何やらメモを取っている。何だろうかと杳は内心、首を傾げる。
「好きなタイプはどんな人ですか?」
「え…」
またひるむ。こんなことを聞かれたこともないし、考えたこともなかった。
「別に…ない…」
「じゃあ、誰でもOKなんだ?」
横からそう言ったのは委員長。にまにま笑っているので、杳はプイッとそっぽを向く。
「あんた以外ならね」
「ちぇっ、可愛くねぇな」
男なんだから可愛くなくてOKだ。ばかじゃん、こいつと思いながら、次々に飛んでくる質問に、杳は「別に」と「特にない」の二言で答えた。何が楽しいのか、妙に盛り上がるクラス内に、杳は辟易(へきえき)する。
「もういいだろ? オレ、一番手だから、次もあるし」
「んじゃ、最後に俺から」