第 5 話

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「おい、待てよ」
 思い立ったら即行動のライムが宿を飛び出すのに合わせて、セフィーロが追いつく。
「おめぇ、探すったって、アテがあるのかよ?」
「いや…」
 ただ闇雲に探したとて、絶対に手にすることはできない物であることは誰にでも見当はつく。それなのに、どこをどう探すつもりなのだろうか。
「そんなんで明日の夜明けまでに見つけられんのか?」
 呆れるほどに無計画なその行動を諭して、セフィーロはため息をつく。
「ったく、呆れるぜ。あの女ったらしヤローを本気で助けたいってんなら、もっとしっかり考えろ」
 何で自分がこんなことを言ってやらなければならないのかと思う。本当はエドガーがいなくなってくれた方が自分にとっては都合がいいはずなのに、それでも、ライムのつらそうな横顔を見る方がもっと嫌だった。
「同じ毒で中和するって言うんなら、傷を負った所から探していくのが本筋だろう。あの森のどこかに、もしかしたら今回のモンスター達を作り出した魔の物がいるのかもしれねぇだろうから。そいつがまだうろついているかもしれねぇ」
「そうか」
 ポンと手を打って、ライムはセフィーロを尊敬の目で見やる。
「お前って、見かけによらず頭いいんだな」
 殴ってやろうかと思ったら、条件反射的に既に手が出ていた。
「おめぇに言われたくねぇんだよっ」
 ついて行ってやろうかと思っていたが、今の言葉でその気が失せた。
 しかしライムはそれでも嬉しそうに感謝の言葉を述べて、森へ向かった。セフィーロはその後ろ姿にふと、不安を感じた。
 この時ついて行っていれば、違った結末を迎えていたのかもしれない。が、その時のセフィーロはそんなことに気づく由もなかった。


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