第 5 話
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「ったく、どこまで行きゃ、出口に出られんだよっ」
最後の一撃を小モンスターに与えて、セフィーロが舌打ちした。
この森を抜けるのが次の町には近道だからと聞かされて、強行突破を図ろうとしたのだが、思った以上に森はモンスターが多かった。しかも微力な物が次から次へと出没しては、一行の行く手を阻んでくれたのだった。
「これじゃ、遠回りした方が早かったんじゃないかなぁ」
この森抜けに最後まで反対していたマルスがポツリとつぶやく。勿論、一番に賛成したライムを気遣って、彼には聞こえないようにするのがマルスらしい心遣いだった。
「ここまで来たんだから、このまま突き進むしかないよなぁ」
元来、後戻りなど考えもしないのだろう、ライムが元気良くそう言った。その彼に、ため息をついたのはマルスだけではなかった。
「はん、おめぇは馬鹿みてぇに元気だからそれでもいいかもしれねぇけど、普通の人間は疲れるんだぜ」
自分も差ほど疲れている訳ではないが、後をついてくるリオンがそろそろバテ気味だった。
「おめぇにそんなこと言っても分かんねぇだろうけどな」
「なにぃ?」
一触即発を寸前で止めたのは、エドガーだった。たった今モンスターを蹴散らした剣を二人の眼前に振り下ろす。
「こんな所で言い合っている暇があったら、もっと効率よくモンスターを撃退する方法でも考えろ」
低い声でそう言うと、ライムが素直に引き下がる。それを見てセフィーロは舌打ちしてそっぽを向く。
気に入らない所は多々有るが、何が一番かと言うと、こんなふうに歴然として態度を変える所だった。初めから分かってはいたが、それでも非常に面白くなかった。
こんな時はふと、思う。いつまでこんなことを続けていくのだろうかと。しかし何のかんのと、今が楽しいのは事実で、いくら仲たがいをしようとも、それでもたもとを分かたないのは、それが最大の理由だからだった。
セフィーロはふて腐れて、ちらりとライムを横目で見やる。三秒前のことをもうすっかり忘れてしまったかのような彼に、また憎まれ口を叩いてしまいたくなった。
と、その時、絹を裂くような悲鳴が聞こえた。そう遠くはない、一行の進行方向だった。
* * *