第 4 話

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「で、そのカシラは逃がしちまったのかよ」
 二日酔いか薬の効果か、日が昇ってもズキズキする頭を抱えて、それでもセフィーロはライムに怒鳴った。
 結局、半眠又は熟睡の三人は、エドガーに背負われて宿屋まで戻ったのだった。
「ん、セフィーロの腕を切り落とそうとしたヤツは、ちょっと死んでもらったんだけど」
 けろりとして言うライムに、セフィーロは一歩引きそうだった。
 どちらにしても助かって良かったと、リオンが目の下に隈を作った顔で言って締めくくられた。
「でもライム、あんまりひょいひょい正体をさらして大丈夫なの?」
「えっ? オレ、何かした?」
 自覚は無いらしかった。脱力するマルスに笑いながら続けた。
「大丈夫、大丈夫。どーせこの町もすぐに出るし」
 その言葉に相変わらず能天気な野郎だと、横でセフィーロが呟いた。


   * * *


 翌日、ライムの稼いだ賞金で支払いも割り増し料金もきっちり払い、一同は晴れて町の門を抜けた。
「また砂漠かよ」
 セフィーロの呟きを耳に、ライムは空を仰ぐ。天気は上々だった。気持ちの良い朝の風に伸びをする。そのライムの背を軽く叩いて後方から追いついてきた者。
「無理をするな。今度危なくなったら俺を呼べ」
 それだけ言って、背の高い影がライムの脇を抜けて前へ出る。赤い、燃えるような髪が陽光にまぶしかった。
 ライムはその背中に、小さく微笑んで、歩きだした。





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