第 4 話

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「来ないでよっ」
 しかし、声はライムには届いていないようだった。
「…許さない…」
 呟く声が漏れる。
「分かったから、もうしないから、許し…」
 が、オリバーの許しを請う言葉は最後までつづられることはなく、彼は最後の突風に吹き飛ばされ、テントを巻き込んで夜の闇の彼方へ飛んで行ってしまった。
 オリバーの姿の消えるのを見送って、ライムはやっと我に返ったかのように、ガックリと膝をついた。
「まったく、本物のつむじ風だな」
 背後から聞こえた声にライムはゆっくり振り返る。そこには、背の高い赤毛の男が立っていた。腰に大剣を携えた出で立ちに、自分達を捜しにきてくれたのだと知る。
「エドガーさま…」
 安心したのと、今までの疲労とで、ライムは全身の力が抜ける気がした。途端、前のめりに倒れそうになる。それを受け止める力強い腕を感じた。
「仕方ない奴だな。自分の体力ぐらい考えて、少しは加減をしろ」
 しかしその言葉は、半分もライムには届かなかった。そのままエドガーの腕を握り締めて、眠りに落ちていった。
 半月がその背中を、青く照らしていた。


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