第 4 話
13ページ/16ページ
「あんた、わざと外したね」
オリバーはライムの襟首を掴み上げる。ライムは目を逸らせたまま答える。
「仕方ないでしょ。失敗は誰にでもあるんですから」
嘘だとは知れていた。オリバーは苦々しげにライムを突き飛ばす。
「一人分の腕の一本でも切り落とさなきゃ分からないみたいね」
「?」
驚きの表情を向けるライムに、オリバーはおかしそうに笑う。
「大丈夫、殺さないように治療は十分してあげるから。薬ならたくさんあるしね」
そう言ってオリバーは、後方に控えていた男に声をかける。
「あんた達、どちらでもいいから、ひとり連れておいで」
それから壁にかけてある大剣を手に取った。鞘から抜き放った刃は、夜の光に不気味にきらめく。
「やめろっ、あの二人に何かしたら許さない」
ライムはオリバーに飛びかかり、その剣を奪おうとする。が、上背のあるその手には届かず、逆にねじ伏せられる。
「威勢がいいわね。安心なさい、あんたは傷つけないから」
「くっそーっ」
ライムはもがこうとするが、かなわない。このきらびやかな外見のどこにそんなに力があるのか、オリバーは意外にも腕力に長けていた。
そこへ引きずられるようにしてやってきたのはセフィーロだった。薬の効果がまだ続いているのか、どこかぼんやりした表情のままだった。