第 4 話

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「この町にはね、悪い領主がいて、町民達はその悪政に苦しめられているのよ」
 そう切り出したオリバー自身の方こそが、ライムには悪人に思えた。
 どこへ連れて行かれたものか、セフィーロとマルスを人質に取られていた。かく言うライムも逃げ出さないようにしっかり椅子にくくりつけられている。
 オリバーは余程、先程のことを根に持っているらしい。
「あたし達はその領主を倒し、民を解放ようとしているわけ」
「…旅の薬屋が、何で?」
 ライムの上げ足取りにオリバーは一瞬言葉に詰まって、しかし回転よく返事をする。
「それは世間をはばかる仮の姿。本当は愛の義賊、オリバー党ってわけよ」
「嘘くさいなぁ」
「それはともかく」
 バンッと再度のテーブルを叩き、つかつかとライムに歩み寄るオリバー。ライムを見下ろし、にっこり笑みを作る。既に厚化粧は直していた。
「やってくれるんでしょうね」
「いやです」
 一言で返す。
「あらまあ、きっぱり言ってくれちゃって。でもいいのなしら、奥の部屋で眠っているお友達」
 きつい目で睨んでくるライムを、オリバーは面白そうに見やる。
「その怒った目、好きよ。何かぞくぞくするわ」
 言いながらオリバーはライムの顎を捕らえ、上を向かせる。薄暗い部屋に灯るローソクの明かりに揺れ動く影。それにちらりと目をやって、オリバーは冷たく笑う。
「聞いてもらうわよ。そして、失敗は許さない」
 ライムは睨み返すことしか出来なかった。


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