第 4 話
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「あんた達、やるじゃないの」
背後から聞き覚えのある声がかかった。途端に頭に浮かぶあのカラフルな衣装。振り返ると案の定、さっきの薬屋だった。
「あたしもあちこち旅して長いけど、あれだけの腕前をもった人にはお目にかかったことないわよ」
面白いものを見せてくれたお礼だと言って、薬屋は三人を無理やり近くのテントへ引きずり込んだ。ご馳走してくれると言うので三人は、うさん臭いとは思いはしたものの、それでものこのこ付いて行った。
「あんた、まだ子供なのに大したものだわ」
褒められて、ライムも気分の悪いものではないらしく、笑顔を浮かべる。
「それほどでもないですよ、ええっと…」
「そうそう、名前がまだだったね。あたしはオリバー。見ての通りの薬売り。世界中を回って商売をする一方、実はね…」
薬屋・オリバーはそこまで言って、声をひそめる。
「世界中を回って、とーっても美しい衣装とか宝石を集めるのが趣味なのよ」
そんなもの、わざわざ声を小さくして言うことかと、セフィーロはばかばかしく思い、目の前のグラスを煽った。目の端でオリバーが一瞬、怪しげに笑んだのが見えた。
「今、注目なのはね、あんた達、聞いたことないかな、エルフィロードっていう特殊な糸で編んだ織物なんだけど、これが月の光よりも美しいと言う夢のような布でね、あたしはこれで編んだ生地が欲しくって欲しくくって」
マルスとライムが思わず顔を見合わせる。そんな二人を見て、オリバーがズイッと近づく。
「やっぱ聞いたことがあるんだ?さっすが、弓の腕も超一流だけあって物を知っているようね」
「何のことか僕達知らないけど」
答えたのはマルス。
「何だよ、その、エルナントカっての」
グラスの中身はアルコールが含まれていたのかも知れない。少し思考がまとまらないセフィーロが割って入った。