第 4 話

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「ラッキー、これだけあれば当分お金の心配はないよね」
 ライムが得た賞金の袋を覗き込みながらマルスが言った。セフィーロが国を出る時に持たされていた金が、かなり残っているものをと思い口を挟むが、マルスはそれを否定する。
「いつまでもあると思うな親と金ってね。セフィーロ、もう少し気を配った方がいいんじゃない?リオン様もきっと困ってらっしゃるよ」
「何だよ、俺ひとりが我が儘なガキみたいに聞こえるじゃねぇか」
「気に障った?ごめんね」
 そう言ってプイッとマルスはそっぽを向く。その態度に腹が立つ。殴ってやろうかと思っていると、振り向き様にアッカンベーが飛んできた。本当に可愛くない奴だと思った。
「それにしても気持ちよかったなぁ。ライム、腕は鈍ってなかったね」
「ああ、久しぶりだったんであんまり自信は無かったんだけどね」
 マルスにそう返して、ライムはセフィーロを振り返る。そして。
「前言撤回しろよな」
 そう言って笑ってみせた顔はいつものライム。セフィーロはドキリとして、慌てて顔を逸らす。
「まぐれってのは、恐ろしいよな」
 ふふんっと、マルスが鼻で笑うのが耳に入った。何だかすごく腹立たしかった。


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