第 4 話

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「ねぇ、あんた達、いい薬があるんだけど、買わない?」
 ポンと、肩に手を置かれて振り返ると、きらびやかな南国の鳥を思わせるような派手な「衣装」が立っていた。顔は濃い化粧を施していたが、体型と、その低い声から男性であるように思われた。
 その、あまり見慣れない突拍子もない装束に、三人とも一歩引いてしまう。
「なっ、何だよ、あんた」
「私は単なる薬売りよ。世界中を回って珍しい薬を集めるのがシ・ゴ・ト」
 単なる薬売りには見えないその外見に、鼻で笑ったのはマルスだった。
「祭りは変な輩が出回るからね、無視した方がいいよ」
 そう言って、ライムの腕をとる。
「変な輩って何よ。私はね、れっきとした旅の行商人よ。ほら、ちゃんと通行手形も持っているんだからさ」
 ふんっと、マルスはそっぽを向く。が、珍しくライムが興味を示していた。そのきらびやかな薬屋に向かって真剣に聞いていた。
「薬って、普通の薬もあるんですか?」
 厚化粧を塗った薬屋の顔が、ピクリと引きつった。


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