第 3 話

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「あれ?あれも蜃気楼なのかな」
 朝早く起きていたライムの声に、マルスは目を覚ます。幾日目かの砂漠の朝を迎えていた。
 夜遅くまで昔のことを考えていたら、つい寝過ごしてしまい、気が付けは空が白みかけて、慌ててシーツを被ったのだった。おかげで酷く眠かった。
 眠い目をこすって外に出ると、同じように寝ぼけ眼のセフィーロと目が合った。遅くまで同じように寝付かれずにいたことを知っている彼は、マルスの赤い目を見ても、素知らぬ顔をしてくれた。
「まだ陽炎の立つ時間でもないと思うんだけど」
 ライムは多少自信なさそうに、しかし同意を求める様に、テントから這い出て来たマルスに目を向ける。
 見やると、ライムの指し示す先に、町らしきものが見えた。
「行ってみようよ。町じゃなくて、もともとなんだしさ」
 明るくそう言い放つライムに、セフィーロでなくともため息が出た。が、マルスは決めたのだ。この人を守るのだと。何があっても。ならばついて行くしかないのだ。観念して返事をしようとした時。
「よし、行ってみるか」
 背後でエドガーの低い声がした。先を越された気分だった。思った通り、ライムは同意を現すエドガーに、満面の笑みを浮かべた。
「ここにいつまでも留まるわけにはいかんだろう」
 エドガーの言葉にライムはさっさと身支度を始める。つまらなそうに、その様子に目を向けるセフィーロが、自分に重なって見えた。
 どこか、この世界のどこかで、もし伝説の薄紫の花を見つけることができたなら、今のこのライムならば一体何を願うのだろうか。『男』になりたいと、本当に願うのだろうか。それとも。
 次第に熱くなりはじめた砂漠に歩みを踏み出し、元気に先を行くライムの後ろ姿を見つめながら、マルスはひどく寂しい思いを感じていた。




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