第 2 話
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諦めたわけではないだろうが、他人の恋路の邪魔をする趣味もないのだろう。五人の男達は、今夜の所は黙って姿を消した。
「そろそろ、帰るぜ」
まだ気分がすぐれない様子でうずくまるライムに、セフィーロは低く声をかける。
「ごめん…変なことして…」
謝られて、困惑する。嫌じゃなかったと、思ってしまった自分に気付いてしまったから。それと同時に、もうひとつ気付いてしまったことがあった。
あの瞳は、自分に向けられたものなどではなく――。
「おめぇ、もしかして…」
立てなくなるまで飲んでいた酒と、酒場で見た心細そうな背中。
「おめぇが好きな奴って…」
「言うなよ。セフィーロには関係ないだろ」
「何をっ」
つい、カッときてライムの肩をつかむ。が、ライムはそれに抵抗するように顔を背ける。
頬に光るもの。
「ライム…」
「ごめん…」
肩が小刻みに震えているのが分かった。
気付き始めた自分の気持ちには蓋をするしかなかった。そしてただ、月が傾いて行くまで黙って見守ることしかできなかった。
* * *