第 2 話

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「君達、誰を捜しているの?」
 最後の宿にしようとしてその暖簾をくぐりかけた時、横から声をかけられた。聞きなれないそれにセフィーロは、ジロリと視線だけを向けた。そこに立っていたのは、まだ子供と言ってもおかしくはない、金の髪をした少年だった。一見、少女のような風貌が目を引いた。
「何だよ、お前」
 セフィーロは口に出して、ふと先程の宿で聞いたことを思い出す。確か同じような人物を捜しているらしい者がいると言うことを。
「見たところ、この国の人達じゃないみたいだけど、どこから来たの?」
 セフィーロの質問には答える事なく、その少年はゆっくりと近づいてきた。深い色をした緑の瞳が、セフィーロを捕らえたままだった。
 油断ならない奴と思った時、にっこりと笑ってきた。
「どうやら追っ手と言うわけじゃないみたいだね」
 そう勝手に結論づけて彼は、セフィーロの正面に立つ。ピンと背筋を伸ばしてセフィーロを見上げて来る目は、その少女のような線の細さとは違って、意志の強さを感じさせた。意外に頑固そうな色も見えた。
「君達が捜しているのはライムとエドガーだろ?」
「何で…」
「何で知っているのかって?それは君達と同じ理由だよ」
 そう言って彼は、くすくすと笑ってみせる。
「僕もあの二人を追っているんだ」
「お前…」
 セフィーロは訝しい目で彼を睨んだ。しかし彼はそんなセフィーロを気にした様子もなく、続ける。
「君達が国からの追っ手じゃないんだとしたら、僕達は敵じゃないよね」
 しかしそう言った彼の瞳は、セフィーロには抜け目ないものにしか見えなかった。多分、外見よりもはるかに老成した内面を持っているのだろう。そう、直感した。
「一緒に捜さない?二人より三人の方が、効率がいい筈だよ」
「そりゃあ…」
「それに、旅は人数が多い方がきっと楽しいから」
 本当にそんなこと思っているのかと聞き返してみたくなったが、セフィーロはあえてしなかった。それはこの少年の持つ雰囲気が、あの妖精に似ていたからだった。あの、ライムに。
「僕はマルス。よろしくね」
 そう言ってマルスはセフィーロに右手を差し出した。


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