第 1 話
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「エドガーさまっ、何やってるんですかっ?」
ライムの怒りの声にエドガーは飛び上がった。エドガーの隣で眠っていた女性も驚いて辺りを見回している。
ライムがやって来たのは町の宿屋。あらかたの見当がついていたのか、ライムは真っすぐにそこへ向かった。するといつの間に潜り込んだものか、女性を連れたエドガーがそこにいたのだった。しかもベッドの中に。
ライムの怒りは心頭に発しているようだった。
「昼間っから何かおかしいと思っていたら、こういうことですか」
「ま、待て、ライム、これには深い事情があってだな」
「人が心配して待っていたって言うのに、こんな所にしけこんで」
エドガーの言葉など聞く耳もたない様子のライムは、壁際に立て掛けてあったエドガーの大剣を持ち上げた。
「おい、お前っ」
横で見ていたセフィーロが驚いて止める間もあればこそ。
「こんなエドガーさまなんて、許せませんっ!」
ライムは手にした大剣をエドガー目がけて投げ付けた。と同時に部屋中を突風が吹き上げた。
「落ち着け、ライム」
ライムを止めようと近づくエドガーは、簡単に吹き飛ばされ、壁に体を打ち付ける。
風は部屋中の家具と人を吹き飛ばした。吹き飛ばされながら、セフィーロはその風の中心にライムのいることを目にした。
「こ、こいつは…」
あの時の姿といい、この力といい、セフィーロは昔語りに聞いたことがある伝説の生き物を思い出していた。
* * *