第4章
巫女−壱−
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新幹線の通らない日本海側の地方に住んでいることを悔やんだのは、これが初めてだった。
オレは改札口から飛び出して、時刻表のある台まで飛んで行った。
時刻表の見方すらろくに知りもしない人間が、その分厚い雑誌を読むのは骨が折れた。が、何とか次の列車の見当をつける。
杉浦はのぞみに乗るとか言ってたから一時過ぎには岡山に着く予定だ。ちなみに特急はサンダーバードに乗って追い上げれば40分程遅れて到着できる。
電車賃は、一瞬キセルも考えたけど、さすがに新幹線には乗れないことに気付き、仕方なしく家へ戻る。貯金箱を開けてなけなしの金を取り出す。片道くらいはありそうだった。
帰りは――まあ、現地に着けば何とかなるだろうと、片道分の旅費を手に再びオレは駅へ向かった。
何かすっごくバカかも知れない。
* * *
計算通りに到着するのがJRのすごいところで、気象状況も良好で何のトラブルも起きずに、オレは目的地までたどりついた。
ホームを降りた所にある待ち合い所の隅っこに、公衆電話を見付けて駆け寄った。
杉浦と違ってオレは葵の知り合いなんだから、事情を話して迎えに来てもらうこともできるかも知れないじゃないか。などと甘い考えが浮かぶ。
金、尽きてきたからなぁ。
一体この駅から葵の家までどれくらいの距離があるのだろうか。
名字と住所だけでNTTは簡単に電話番号を教えてくれた。早速そこへ電話をかけてみた。
思えば、葵は大して親しい友達と言える存在ではなかった。小学校の低学年くらいまでは一緒に遊んでたけど、中学に上がってからは、クラスも違ったので疎遠になって、今では同級生程度の関係だ。
挨拶状くらいは来ているが、よくよく考えるとこっちからは一切出してなかった。
呼び出しコール音を聞きながら、オレはそんなことを思いながら、少々不安になった。
が、ここまで来たんだから仕方がないじゃないかと開き直る。
それなのに、待っても待っても、受話器からは呼び出し音が延々と聞こえただけだった。
四十回くらいコールして誰も出ないので意気消沈しながら電話を切ろうとしたら、ようやく相手が出た。
『はい、葵です』
オレと同じくらいの年だろうか、しかし聞き覚えのない声が聞こえた。
「あ、あの、葵翔くんのお宅ですか?」
少し、どもってしまった。
『そうですけど、今いませんよ』
「えっ…」
そっけない答えにオレはうろたえた。
「出掛けてるんですか?」
『さあ、オレも今起きた所だから』
時計は昼の二時を指していた。嘘だろうと思っていると、けだるそうな欠伸が受話器から聞こえてきた。オレより上手がいたなんて。
「そうですか」
『夜には帰ると思うから、電話し直してみてよ』
「あの、ちょっとお尋ねしたいことがあるんですが」
このままだと電話を切ってしまわれそうなんで、オレは言葉を継ぐ。
『なに?』
「えっと、勾玉ってご存じですか?」