第2章
かわいた雨
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 夏菜はともかくとして、助けてくれた静川さんを見捨てて逃げる訳にはいかない。

 オレはその玉を拾いあげると、ジーンズのポケットにしまい込んだ。こうしておけば大丈夫だろうと思ったけど、光り始めるとまるで蛍のようになるかも知れない。でも、手に持つのも面倒だし、女の子じゃないんだから首にぶら下げるのも嫌だった。

 オレは準備を整えると、ゆっくり御堂から足を踏み出した。

 外は静かだった。月の明かりが眩しいほどに足元を照らしていた。

「静川さん」

 呼んでも、返事はなかった。

 オレはなるべく月の光の当たる場所を選んで歩くことにした。

 村は静まり返り、人の気配は感じられなかった。

 眠っている訳などない。あれだけの人が出て来たのだから。それなのに近くに人の動き回る様子は伺えなかった。

 オレは、ポケットの中の玉のおかげだろうか、すっかり安心しきった気分になっていた。この玉が本当に魔よけになるのかどうかははっきりとはしないけど、お守り代わりくらいにはなるのかも。


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