第2章
かわいた雨
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 オレはびっくりして静川さんの顔を見上げた。冗談を言っている場合じゃないだろうが。

「貴方だって巻き込まれたくないでしょう。さあ碧海を……」
「そりゃあ厄介事ってのは御免だが、俺は俺のしたことの後始末もつけなきゃならないんでね。そこをどいてもらおうか」

 静川さんの声は静かだったが、周りにいた人達は一斉にたじろいだ。それと共に青いオーラが光を増す。

「そう、仕方がないですね」

 夏菜はそう言うと片手を軽く挙げて見せた。

 それが合図だったのだろう。周囲を囲んでいた村人達は、一斉にオレ達に飛びかかって来た。

 が、それも一瞬のことだった。

 静川さんの青いオーラが輝きを増したかと思うと村人達は何の力も加えられていないのに、各々軽く五メートルはぶっとんだ。ある者は近くの木の幹にぶつかり、ある者は地面に叩きつけられ、そしてある者は御堂の扉まで飛んで行った。扉は古く、腐っていたのか、それだけのショックで大きな穴が開いてしまった。

「なっ……貴方、一体何者?」

 夏菜の声は震えていた。顔も多少青白く変化していた。しかしそれは畏怖によるものではないことは、夏菜の表情から読み取れた。

 彼女はアッケなくやられた連中には一瞥もくれず、静川さんを睨み返していた。

「それはこちらが聞きたいね」

 ぶっとばされた村人達はいつの間にか長い物に姿を変えていた。それはついさっき夏菜のじーさんの家で見た物と同じだった。

 オレの勘は不気味にも当たっていたのかもしれない。

「この村は大蛇の村か。その御堂に祀ってある物もそうか?」
「大蛇?」

 彼女は言われてむしろ怒っていたようだった。


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