第2章
かわいた雨
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「へーえ、なっかなかいいところじゃない」

 とオレ。

「でしょー?」

 と夏菜。どうも彼女とオレはフィーリングが合うらしかった。

 だのに静川さんときたら、一人暗い表情をしている。辺りを怖い目付きで見回しては、首を傾げてぶつぶつと一人ごちている。

 ああいう兄ちゃんは少しおかしいんだとオレも思う。そこで声をかけることを控え、オレと夏菜は二人先に立って歩き始めた。

 じりじりと照りつける日差しは街でのものより、むしろ激しいように思えた。剥き出しの首筋が、日光に焼かれて熱くなってきた。

 余りの暑さに、あの入道雲がここまでやって来て、夕立でも降らせてくれないだろうかと、向こうの山を見た。

「あそこがおじいちゃんちよ」

 夏菜はそう言うか言わないかのうちに駆け出していた。家の前ではじーさんとばーさんが二人して立っていた。

 この暑いのに孫娘の来るという知らせを聞いて、ずっとそこで待っていたのだろうか。

 じーさん達は、オレと静川さんの二人が夏菜の後をゆっくり近づいて来るのに気付いて、少し怪訝な表情を見せた。

「お友達よ」
「清水碧海です。よろしくお願いします」

 初対面の人には、つい良い子のフリをしてしまうオレ。美少年はいつだって、愛想良くしておかなくっちゃね。

「そちらの方もお友達かい?」

 怪訝そうに、じーさんは静川さんの方を見て聞いてきた。

「あ、どうも、静川と申します。俺は単なる旅の道連れで、夕方には下の町まで降りるつもりです」

 えっ?

 オレ達全員、そう、簡単に言ってのけた静川さんの顔を見返した。


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