■ 遠い約束 ■

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 帰路に就いて、フェザンは暗くなる思いに蓋をする。

「そうだ、お前これから暇か?」

 外の日差しは暖かくて、心地良い。こんな天気のいい日にキャンプに戻る気にはならなかった。フェザンは即座に今日の稽古は終了と決めこんだ。

「良かったら森の奥に行かねぇか? 奇麗な湖があるんだ」

 それに、もう少し一緒にいたかったのも事実。それが「偽物」であったとしても。

「ホントに?」

「ああ、俺も丁度暇だしよ」

「うん」

 素直に喜んでいるセレムに、フェザンは分かっていながらも浮き立つ気持ちを押さえられなかった。事実、セレムと一緒にいてこんな気分になるのは初めてだった。いつも腹を立てているか、いたたまれなかったか。

「じゃあ、僕もっ。いいよね?」

 忘れていた。マキアスがいたのだった。

 睨んでいるのか笑顔なのか分からないような顔を向けるマキアスに、フェザンは渋々頷いた。

 それでも、案内して回る道は楽しかった。

 抜けるような青空。木漏れ日が眩しい森の木々。誰かが敷いたのだろう石畳の道。そして包み込むように柔らかな風。

 セレムとこうして歩くなんて不思議な気分だった。

 ふと、肩が触れ合う。身長差が感じられなかった。踵の高い靴を履くフェザンの方が却って視線が高かった。それに良く見るとセレムの衣服もいつもとどこか違っている。

 好みも違っているんだろうと思った。別人のようなものだったから。









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