■ じらされて ■

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 カチャリ。

 シャワールームのドアが開き、男が現れた。

 この下半身のうずきの原因である怪しげな薬を塗り込めて行った男だった。

「レイ…ヴァン…」

 レイヴァンの姿を見るなり、セレムはそれまでの苦悶の表情を隠す。

「気分はどうだ、セレム。天国は拝めたか?」

 笑みを浮かべるレイヴァンに、セレムはぷいっと顔を背ける。

「何考えてるんた…っ、早くほどいて」

 身体をひねり、不自由な腕を何とか動かそうとする。

 レイヴァンはそんなセレムに、意味深な笑みを浮かべたままゆっくりと近づいていった。

 タオルを腰に巻いたままの、逞しい肉体をさらけ出して、レイヴァンはセレムに覆いかぶさるように顔を近づける。

「たまにはこんな格好もいいだろ。色っぽいぞ」

「レイヴァン太子っ!」

 顔が熱くなる。この変態男はっと、睨むセレムに苦笑を返しながら、レイヴァンはそっと口付ける。

「んっ…」

 こんな格好をさせられたままなんて、絶対に応じてやるものかと思っていたのに、セレムはレイヴァンの口づけに目眩のする思いで、興奮して行く自分を感じた。

 薬の効果が大きいのかもしれない。

 身体中が性感帯になったような感じがした。

 わずかに肌が触れるだけで、吐息が漏れそうになった。

 絡まる舌と舌。

 互いの息を奪い合うようにして口づけを交わしながら、レイヴァンの手は早くもセレムの下半身に伸びていた。

 そこで、既に興奮に打ち震えるセレムの中心に指を絡ませる。

「ん…あっ…」

 ピクンとセレムの身体が跳ねる。

「どうしたんだ? こんなになってしまって」

 冗談のように言うレイヴァン。

 セレムはそのレイヴァンをきつく睨む。が、今のレイヴァンの口づけに潤んだ瞳では何の効果もなかった。それどころか、レイヴァンの紡ぎ出す指の動きにあっと言う間に上り詰めてしまった。

「欲しいんじゃないのか?」

「だ…誰が…っ」

「そうか…」

 嫌な笑みを浮かべながら、レイヴァンはセレムの中心から手を放した。


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