■ じらされて ■
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焦るセレムなど目もくれず、レイヴァンはタオルの下にあったセレムの少年の証しに薬を付けた指を伸ばす。
「レイヴァン太子っ!」
レイヴァンの身体が上に乗っているので、大腿から下は身動きがならなかった。身体を動かそうとすると、自然と腰を動かすことになる。それは、レイヴァンに媚びてでもいるかのような動きだった。
「そんなに待ち遠しいか?」
レイヴァンは、薬をセレムの中心にたっぷり塗り込む。
「あ…」
レイヴァンの指の動きにセレムは戸惑う。
余りにも巧みな指の動きに、セレムは一瞬浸りそうになって、慌てて首をふる。
「やめて…っ」
「いいから、俺に任せておけ」
そんなもの、任せてしまったら何をされるか分かったものではない。
セレムは明らかな身の危険を感じて、尚もレイヴァンに制止をしようとする。
その時になって、ふと、自分自身に内から沸き上がるとは別の、刺激を感じた。
「な…なに…?」
レイヴァンの指によって塗り込まれている薬。その場所が熱い刺激へと代わり始めていたのだった。
「レイヴァン太子、これは…」
しかし、レイヴァンは十分に塗り終わると、セレムに不遜な笑みを向ける。
「もう一カ所、塗ってやる」
そう言うが早いか、今度はセレムの両足を抱え上げた。
邪魔なタオルはとっととはぎとり、レイヴァンはセレムの足を両肩に乗せて、もう一度先程の瓶に手を伸ばす。
「もう感じ始めたか。癖になると注意されたが、即効性はあるようだな」
「何言ってるんだよっ!」
レイヴァンは先程よりも多少多めの量を指に取り、肩にかけたセレムの足をぐっとセレムの方へ押しやる。抵抗しようにも、手を縛られ足腰を取られた状態では、もう何もできなかった。
「や…やだぁ…」
身体をくの字に曲げて、秘所をレイヴァンの眼前にさらけ出す形になって、セレムは恥ずかしさの余り涙が出そうになる。それをぐっとこらえて目を閉じる。
レイヴァンの指が、セレムの後ろの部分にゆっくりと挿入された。
「あ…やぁ…」
冷たいクリームが、壁面に塗り込められて行くのが感じられた。それと同時に必要以上に蠢く身体。ぞわぞわと背筋を何かが這い上っていくような感覚。
「やめて…」
拒否の声も哀願に変わっていた。
先に薬を塗られた部分が、ジンジンと疼くようにセレムを翻弄させた。
それに加えてレイヴァンの指先による煽りと、新たな薬の刺激。
セレムは首を振ってその苦痛から逃れようとする。
しかし、追い上げてくるものからは逃げ切れなかった。
「すぐに出て来るから、おとなしく待っているろ」
レイヴァンは名残惜しそうにセレムの中から指を抜き出すと、十分に薬の効果が現れてきているセレムの額にキスをして、シャワー室へ向かった。
足取りが、非常に軽やかだったことに、既にセレムは気づかなかった。