■ 野犬 ■

3/5





 が、何時まで経っても妖獣は襲って来なかった。


 その代わりに、下腹部に動物の毛のような物が触れてきた。


 ハッとして目を開けると、妖獣はじっとセレムを見下ろしていた。


 セレムを跨ぐ格好で、前足をセレムの両脇に置き、広げたままのセレムの股の間に後ろ足を据えていた。


 妖獣はその後ろ足をセレムの内股に引っかけて、それを前方へ押しやった。


「あっ…」


 セレムの足は妖獣の後ろ足によって上方へ持ち上げられる。


 そして、ゆっくり腰を降ろして来る妖獣の体に押されるように、セレムの両足は自分の両脇にその膝を納めるような格好になった。


 仰向けになり、腰を曲げ、尻を天上に向けて押し開く、そんな淫らな様になってしまった。


 そして、そこに触れるモノ。


 堅い剛毛の中に、脈打つ何かがセレムの秘部に触れてきた。


 セレムのそこを弄る、熱をもった太いソレは正しく雄の印だった。


「いやあああああ―――――っ 」


 気付いて、セレムは身を引こうとしたが、男を迎え入れる為のその体勢では無理だった。


 それでも何とか逃れようと腰を動かした瞬間。


「う……あ…………っ」


 妖獣の男根はセレムの秘肉をこじ開け、中へと侵入してきた。


「はあああ……ん…うぐ……う……」


 妖獣は、欲望のままにセレムの中を弄り、突き進んで行った。


「いや…いやあ……」


 セレムは涙を浮かべる。


 自分の内で蠢き、突き上げて来る妖獣のモノを感じる度に、このまま舌を噛み切って死んだ方がマシだと思えた。


 が、その時、感じた。


 何故かこの妖獣のものが、愛しい人のものと酷似して感じられたのだった。


 その一瞬の躊躇が、セレムを地獄へ陥れることになった。


 雄獣は己のモノをセレムの中で猛らせ、震わせた。


 その度にセレムの漏らす声は甘く変化していった。


「ふ…うん……あはあ…ん……やぁあん…」


 雄獣の動きに合わせてセレムは腰を動かした。


 感じていたのだった。


<< 目次 >>