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はしらのはなし・62

(中央奥に見えるのが遊園地の入り口。左の建物がモノレールの駅)

 40番も、道路や川を大きくまたいでモノレールを支えていますけれど、実質的には2本のはしらで共同で・・なのですよね。
 わたし62番は、この通り、単独でぐわーんと川をまたいでいます。川に沿ってしばらくまっすぐ進んできたモノレールが、いよいよ向ヶ丘遊園前の駅へ入るために最後のカーブを描く場所です。

 すぐ隣りには 歩道橋がありまして、モノレールに乗っている子どもたちと、歩道橋を利用する子どもたちがとても近い距離で顔を合わせるのです。そうすると、手を振り合って笑っている子もいるし、「べえーっ」だの「がーっ」だの叫んではジャンプしたり水筒を振り回したりする子もいる。そのうえ、駅のホームにも沢山の子どもがいて、モノレールが来た!って興奮しているし、もう大騒ぎになります。わたしは子どもたちが落ちやしないかと、いつもいつもハラハラしどおしでした。

 遊園地がなくなって、歩道橋を歩く人もいなくなり、静かすぎる日々が過ぎてゆきます。ただ、わたしの足元の草花たちがさわさわと揺れるばかりです。

 


(歩道橋の上から62番とモノレールを見ると、本当に近い)