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はしらのはなし・6

 17番が、ペンキを一度も塗ってもらえなかったことを恨んでいたようですな。私を含んだ前半16本のはしらは、二度も塗ってもらったのにね。

 向ヶ丘遊園がなくなるなんて誰も想像しなかった頃、私たちは濃い緑色をしていました。「緑色は目に良い」なんて人々が言い始めた頃で、生田緑地や遊園地の木々をも連想させるということで、私たちは塗られたようです。川崎という都市自体、公害のイメージがぬぐいきれず、緑にコンプレックスがあるのかもしれませんな。

 だけど、始発駅の階段はブルー、すぐ脇の道路を走る川崎市営バスは ブルーと白のツートンカラー。上を走るモノレールは、銀色に朱色のライン・・・。 統一性はまるきりなかったですなあ。
 その後、緑色の上に 重ね塗られたのが、小中学校の校舎みたいな 肌色です。「無難」というのですかねえ、こういうのって・・・。


(はしらの足元、表面のペンキが削れたところから、緑色のペンキが覗く)


はしら2番を囲んでいた謎の倉庫が撤去されたら、緑色がそっくり現れた。2002年8月)

(2005年6月・記)