←歩く
表紙へ

はしらのはなし・5

 なんとなく、ほかのはしらや建物に隠れて黙っている方が気が楽だ。長いこと、自転車置き場の屋根に囲まれていたせいかもしれない。

 と、はしらの1番から3番が先に壊されてしまった時は、どきどきした。もしも隣の4番も壊されてしまったら、私が先頭になってしまうからだ。

 別に先頭になったからといって、代表して挨拶をしなければならないとか、戦いのリーダーにならなくてはいけないとか、そんなことあるはずもないのに、そんなことばかり考えて緊張してしまう。緊張すると、頭の上にモノレールが走ってもいないのに、ぐらぐらと揺れそうになる。

(2005年1月・記)

(モノレール廃線間もないころ。2001年8月)


(4番の陰に隠れ、この状態で半年ほど過ごした。4番から9番はほぼ同時に撤去された)
2002年12月