南部縦貫鉄道を歩く 14
 営農大学校前駅から先は、国道4号線の右側に並行してレールは続く。なんとなく、国道沿いの廃線跡というのは、「道路と同じ高さで遊歩道みたいにこぎれいで歩きやすいのではないか」というイメージを勝手に思い描いていて、歩きやすくても、物足りない気持ちで人目にさらされながら黙々と歩くことになるかなと考えていた。しかし、全然違った。ゆるゆると下り坂となり、国道よりも背の高さ分くらい、低いところを歩くことになった。行く手には、今までよりも大変そうなやぶがかぶさっている。両側から覆いかぶさり、何十メートルも続いている。
 さっきスカーフを無くしかけたから、手には物を持たないようにする。でも、地図だけはちょくちょく見たくなるから、手に持ったまま歩き続けている。今歩いている所は、地図に「七戸松並木」と書いてある。足元ばかり見て歩いていたことに気づいて、ふと左を見上げると、確かに立派な松並木が続いていた。

 右側はというと、地図によれば「諏訪牧場」である。「関係者以外立入禁止」という看板を2回見た。牧場と知らずに入ってきてしまう人に警告するためなのか、それとも「わー牧場だー馬だー」とか言って入ってきてしまう(わたしのような?)のほほんとした旅行者を拒否するためなのか・・・?それとももっとほかに厳然たる理由があるのか・・・?木立の向こうに、馬がいるのが見える。2頭の馬が、妙なところを歩く人間(わたし)を見つけ、「ほえ?」と不思議そうな顔で見ていた。