南部縦貫鉄道を歩く 8
(赤錆びたレールと小さな花たち)

 両側が小高くなり、樹木に囲まれたレール上を行く。全く人目にさらされない状態は、少し不安でもあり、気楽でもある。ときどき、踏切などない小さな道が線路を横切る。地図によると、ここは盛田牧場の敷地内である。だんだん左側の土手が低くなり、牧場の草地が見えてくる。動物が好きなので、馬がいるといいなと期待していたのだが、うんと遠くに2頭いるのが見えたくらいだった。ほかのときならば、馬をもっと近くで見られるようにがんばるのだが、今日の目的は野辺地まで歩き通すことなので、深追いしない。だいいち、こんなところからいきなり姿を現したら、馬がびっくりするだろう。ここにレールバスが走っていた頃は、目線が高いから、馬もよく見えただろうと思う。