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鶴居軌道跡を歩く 2


(ホザキシモツケ(穂咲下野)バラ科)

 展望施設内の一周2.5キロの遊歩道に踏み込む。温根内まで歩けなくとも、軌道跡には立ってみたい。
 ここの遊歩道は、木と藪に囲まれて、まるっきり山道である。アップダウンが多く、軌道跡が一直線に見えるという「サテライト展望台」へ往復するだけでも、結構な運動になるだろうと思った。(荷物が少なければいいのでしょうが)
 クマが出る事がありますと言う看板と、なるべく単独では行動しないようにとの注意書き、また、クマ除けの鈴を貸しているという案内があった。鈴を借りようかなと一瞬考えたが、もし温根内まで言ったら返せないな、と思い、借りるのをやめた。温根内で返してもいいですよ、と言ってもらえるのかもしれないけれど、「釧路市展望台」という名前からして、融通がきかないような雰囲気だと思った。

 他に数人歩いているので、特に怖い事はない。しかし、笹と樹木に囲まれた道でふと一人になると、向こうからクマが出てきてもおかしくないと思われる。そうなると少し心配になり、何か音の鳴る物はないかと探すと、ジャンバーのポケットに小銭が入っているくらいである。仕方がないから、ポケットに手をつっこんでジャラジャラと鳴らしてみる。そうして、鼻歌も歌ってみる。
 この道は、どんどん下ってゆく。手すりは整備されているが、足元はゆっくりと見て歩かないといけない。小さなつり橋を渡ると、道が二股に分かれる。サテライト展望台に至り、スタート地点に戻る道は左。鶴居軌道跡に出るには右。他の人たちは皆左へ行ってしまうが、私は右へ。この先で一度上り、まだ下る。下るにつれ、湿原の花が左右に見え始める。ピンクのホザキシモツケが多い。少しずつ、うっそうとしていた頭上の木が減り、視界が開けてくる。