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湘南軌道を歩く  1

 小田急線の秦野駅の改札を出て、北口の方へ目を向けると、外が思っていた以上に暗い色をしている。え、雨か?とびっくりしてよく見ると、それは空の色ではなくて、丹沢の山肌だった。大山方面へのバスも出ているのだから、これだけ近くても驚くようなことではないのだけれど、慣れていないと一瞬、びっくりする。(後日、隣の渋沢駅に降り立った時にも、同じ錯覚をした。)本当の空は、くもりだが明るい。ホッとして歩き始めた。湘南軌道の秦野駅は、現在の秦野駅とは離れて設置されていたらしい。市街地には軌道跡はほとんど期待できないらしいので、そちらへは行かず、二宮方面をめざす。

 水無川沿いを東へ歩いていると、柵に目が止まった。なんと、汽車がデザインされている。小田急線関係で汽車、ということはないだろうから、きっと湘南軌道を記念したものなのだろうと思う。いきなりこんなものに出会えて、幸先がいいなと思う。


(柵の、汽車デザイン。背景は丹沢大山。)

 イトーヨーカドーでパンを買い、その脇の道へ入って行く。小田急線の高架をくぐる少し手前で左からきた軌道跡と合流するらしい・・、と思ったら、さっそく養泉院というお寺の前の歩道に「軽便みち」とだけ刻まれた道標が立っていた。
  この道標は、軌道跡にいくつか立てられているが、わりと新しく、これを立てた人たちも軌道のことは詳しく知らないのだろうな、と思う*。

*・・『ふるさと見つけた軽便鉄道 秦野の軽便鉄道小史』(秦野青年会議所)という本を後に知りました。。地元の方々が湘南鉄道について詳しく調べられた成果です。


(右が秦野側、左が小田急線をくぐって二宮方面。)