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西沢森林軌道を歩く 6

 人が多くても、焦らずに足元を確かめて自分のペースで歩かなくては危険だ。
のんびりした渓谷歩き・廃線歩きを夢見た身としては、近頃のアウトドアブーム・中高年登山ブームが恨めしくもなるけれど、後に『写真集 笛吹の里みとみ』で見つけた、昭和30年代のハイキング風景の写真は、その当時でも歩く人たちが数珠つなぎであったことを伝えている。今よりも若い人が多かったようだけれど。

 そんな道中、川の流れに浸かっている、長い鉄骨を見つけた(上の写真)。レールらしい。相棒(金物好きだが鉄道マニアではない)は、普通の鉄道のレールの大きさを思い描いたのか「あれはレールじゃないでしょ」と言ったけれど、その後同じ物をいくつも目にして「やっぱりレールなんだ・・」と感心していた。周囲には、その落下レールに関心を持っている様子の人はいなかった。

 川岸は全体が巨大な岩でできているように見える。たまに現れる川床は滑らかで、「ウナギ床」なんていう名前の付いた場所もある。また、流れてきた小石が回転する力で長い年月をかけて丸くえぐられた甌穴(おうけつ)も見られる。それぞれに名札が立っているので、「ほほー、ウナギ床だってー」とか「人面洞?どこに人の顔がみえる?」などと、仲間ごとにしゃべる声があちこちであがる。
  美しい水の色、川床の滑らかさに気を取られると、本当に吸い込まれそうで目がくらむ。

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