札幌を逃げ出して初めての冬を迎えています。先日関東地方では積雪深9cmの「大雪」が あり、出張先の高知から飛行機が飛ばず、高松までレンタカーを飛ばして乗り捨て、瀬戸大 橋経由で岡山から「のぞみ」で帰って来ました。 さて、21世紀初ライヴは、1/30の"L'Orchestre de Contrebasses"でした。このグループ は、1981年に結成されたフランスのグループで、コントラバス6人だけ(結成当初は8人)という 編成です。曲はほぼ総てメンバーのオリジナルで、ジャズ・クラシック・ラテン・ロックなど、コ ントラバスで表現できる音楽は何でも高水準で演奏します。"Turtle Island String Quartet" の低音版かな?それに加えて、オートバイ、船のオール、救急車、カモメの鳴き声、ドアの軋 みなどの効果音(総てコントラバスで出す)も駆使し、楽器の胴体を叩いて太鼓の代わりにも します。加えて、演劇的なステージ・パフォーマンスと凝ったライティングを駆使して観客を楽 しませます。「ぼくらの観客は2通り。プロのベーシストか家族連れさ」と、リーダーが語るよう に、楽しいアイデアに溢れたステージでした。 実は、このグループは2度目の来日公演になります。1回目は、某国営放送の番組収録の ための来日公演で、他に私が神様として崇めている"Gary Karr"の公演も収めた、コントラ バスの特集番組(ハイビジョン放送)のためでした。1999年9月30日に、緊急初来日した際に は、東京で1日だけの公演であったため、当時札幌市民であった私は、指をくわえたお預け 状態で、悔しい思いをしていました。 今回は、1年4ヶ月振りに、前世紀の恨みを晴らしたという気分です。今回は日本ツアーと いう名目で来日していますが、大阪・名古屋・岡山・広島(廿日市)・東京・ソウルという日程 で、やはり札幌には行きません。 さて演奏内容ですが、フランス本国でのライブの噂通り、「ほんの少し空気の音楽を」から 始まりました。これは、楽弓を振る音のリズムを用いたパフォーマンスで、「ビュン、ビュン」と いう音が、テニスやフェンシングなどのパントマイムとともに3拍子のリズムを6人で紡ぎ、い きなり客席からクスクスという笑いが起こっていました。 その後、パフォーマンスを行ないながらも、とんでもない超絶技巧を駆使した演奏が続いた 後、4本のベースのアンサンブルをバックに、2人と2本のベースがダンスをする「7月12日」を 聴けました。ベースが女性に見えてくるから不思議です。 その後は、ベースを上下逆にして駒より下を弾く「コラソング」や、自動車・波・カモメ・汽笛・ 船・ノック・ドアを開ける音のコラージュ「ドーヴィルの週末」などが続き、ブルース・ラテン・ロ ックなどの曲も、色々と楽しめました。ちなみに、「コラソング」では、逆さまベースを顔に見立 てて、会話をしているようなパフォーマンスがあり、私の近くにいた女性客が思わず、「かわ いい」などと口走っていました。 最後は、思ったとおりメンバー紹介にも使われる、「嘘つきの神様」が来ました。この曲は、 3台のベースを各々2人で演奏します。1人は普通に演奏し、もう1人は、ベースの足を持って 胴体の下部を叩いてリズムを出します。このペアで演奏する3台のベースが最後には、上中 下3段に重なり、カブト虫の集団のような状態になります(演奏内容は凄くまとも、念のため)。 そして、ヒップポップ〜ラップで、このグループのテーマ曲ともいえる「ベース、ベース、ベー ス、ベース、ベース&ベース」で、予定プログラムが終わりました。アンコールは、パントマイ ム的なユーモラスな曲と、ジミヘンを彷彿とさせるハードロック曲で締めくくりました。 6人のうち、テクニックとしてはオリヴィエ・モレが最も難しいパートを楽々と弾いているのに も驚きましたが、イヴ・トルシャンスキーのランニング・ベースとジャン=フィリップ・ヴィレのア ルコ・ソロに最も感動しました。今日まで、このグループのアルコは、チェロと同じ弾き方であ る、フレンチ・ボーだとお思い込んでいましたが、J=Fヴィレ氏は、アンサンブルでは仏式を用 いますが、ソロでは手のひらを上に向けて構える、ジャーマン・ボーを駆使していました。 |