NZアイアンマン参戦記

  2006年3月1日〜6日   開催日 4日 土曜日

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[到着日]
3月1日成田を出発し、10時間半のフライトで3月2日オークランドに到着。
日差しは暖かいが風が冷たい。
数日前に現地に乗り込んでいたセンゴクさんがロビーで手を振っている。
何で先にいるんだろうと聞くと、先週マレーシアのアイアンマンに出て、今週NZアイアンマンに出場するとの事。
2週連続のアイアンマン!!! まさにミスターアイアンマンのセンゴクさんです!
ココからバスで4時間南下する。
市外に出ると牧草地帯が延々と続く。バスの中で1時間ちょっと睡眠をとって目覚めてもまだ同じ景色が続く。
半分の「matamata」と言う街で休憩。ここは「ロード オブ ザ リング」のロケ地だそうです。
市街地は小さいかわいいお店が並んでいる。ここで昼食を取る。
   嵐の前兆!
 matamataもtaupoも小さくてかわいい街です!

4時間ちょっとでタウポに到着。
バスでそのままグレートレークセンターの受付会場に行き、エントリー手続きを行う。
もう既に会場は盛り上っている!  ・・・・・・しかし、肌寒い・・・!
オークランドから南下4時間という事は、北半球(東京)で例えると東京から北上4時間だから
新潟・秋田あたりに相当するかも。しかも、タウポは高地。寒いのも納得できる。
到着日はカーボパーティがあるので、荷解きと周辺散策
バイクの組み立て、試走であっと言う間に時間が過ぎる。

   
グレートレークセンター      前日の朝6時!       7時!

[大会前日]

朝から雨風が強い!
朝6時の時点でも真っ暗! スイム会場まで歩いて5〜6分なので見に行ってみる。
結構波が荒い。会場のテントが大きく揺れている!
湖岸沿いの24時間カフェ(ココしかない)でコーヒーを飲みながら呆然と湖岸を見ていると
同じように大学生達も立ちすくんでいる。
スタート時間の7時でも真っ暗!

お昼には雨は止み日差しが出てきた。しかし、風は強くなる一方。
試泳を諦めた人が帰ってきた。
段々波しぶきが強くなる中、新しいウェットを試したくなってタウポに入水した。
海の場合はある程度のリズムがあって波が強くてもそのリズムにあわせると
ウェットを着ていれば結構面白く泳げる。
しかし、このタウポの強風で起きた波はインターバルなく襲い掛かってくる。
リカバリーの手が波のテッペンに届かない!
水を飲まされるが、・・・・・・・・美味しい! まるでミネラルウォーターです!
波の正面に向かって沖へ泳ぐにはこなせたが、本来のコースは湖岸に沿って泳ぐ。
やってみたが、ドンドン湖岸に流されてしまう。途中に重りで固定されているイカダがあるが大きく揺られており、
自身も大きく揺られている為中々掴めない。
日本でイルカ数10頭が波に押されて岸に打ち上げられたニュースを思い出した。
「水泳の名人 イルカ でも自然には勝てない。」 危機感を感じそそくさと避難。

この日の残りは体を休める事に集中した。
気温もかなり寒い! みんなウィンドブレーカーの中にシャツなどを数枚重ね着している。
バイクチェックではヘルメットの中のウレタンが割れているとのことで新しいのを買わされる。

    
ランコース 車道側が往路   バイク80km地点そこから街へ
 中央が復路


[大会当日]
朝、ホテルの鉢植えが吹っ飛ばされている。風の音が昨日以上にウルサイ!
タウポに目をやると言葉を失った!
以前、テレビでみた竜飛岬の光景と同じだ!
暗い中でも見える白い波しぶき。その波しぶきが更に上空で踊らされている。
会場ではバイクに空気を入れ、後はウェットを着るだけ。
しかし、ほとんどの人がウェットを着ていない。
とりあえず、あまりの寒さにテントに逃げ込む。中は人でいっぱい!みんな考えは同じだ。

早口の英語で何かが語られている。雰囲気は悪い!
風でテントが持ち上げられ何箇所かの支柱が宙に浮く。大きなざわめきが起こる。
私のすぐ横の支柱も2度、3度と浮いた!スイムスタートまで時間がない。
これでは、準備が間に合わない。嫌な予感が。未だに何の指示もない。
グランドに集合がかかる。空は全くの青空!。雲も風に吹き飛ばされている!
大会自体が中止か? いや、デュアスロンか? マラソンか?
いろんな会話があちらこちら交わされる。
10分  20分と経過しても何のインフォメーションもない。
やがて、実行委員長がマイクを持つ。
・・・・・しかし、時間繋ぎのジョークばかりで大会インフォメーションがない。(何処かの実行委員長とそっくり)
「パーティの準備ができました。さあ、どうぞ・・・」とかまでは笑えたが
「You are finisyer!・・・・next year!」には背筋が凍った!
時計を見ると本来ならスイム半分位終了している時間がきた。
何のために慌ててウェットを作ったのだろう・・・・。
ヘルメットまで買わされて・・・・・・。
それより、何のために1年間練習したのだろう・・・・・・・。
8年ぶりに一念発起したんだよ・・・・・。
もう泣きそうでした!

やっと、インフォメーションが流れた。
日本選手団向けの通訳の方も来た。
「とりあえず、スイム競技は中止します。その他に関しては8:15より説明します。」 と。
みんな一度ホテルに戻り、体を温めなおす。
20分ほど経ってウェットスーツを部屋に残し再び会場へ。(スイムが中止決定なので不用になった)
しかも、もうレースへのテンションはみんな下がってしまっている。
何が語れるか全く予想がつかない。
日本人参加者が多いので別に集められて説明される。
説明者はグレッグ・ウェルチだ!
ちょっと嬉しかった!(単純です・・・)
ウェルチに言われると全てYESで気持ちよく受け入れられそう。

そして、変更事項

バイク90km ラン21km のタイムトライアルレースとします。
レースナンバー1番から5秒おきにスタートです!  
これはハワイのクオリファイレースであり正式なNZアイアンマンレースです。
フィニッシャーにはメダルを授与し称えます。と毅然としている。
しかし、バイクコースは非常に危険なので注意してくださいとも。
ウェルチが日本語で「頑張って!」と大きな声で言うと思わず拍手してしまった。
開始時間は確か・・・・11時からだったと。(このあたり頭が混乱してはっきり覚えていない。)
はっきりしていたのは、979番の自分のスタートは12時半頃になるという事だけでした。

結局スイムは選手の安全だけでなく、水上(レスキュー)スタッフも危険にさらされる。
バイクコースでは設営されていたフェンスも風で飛ばされ、
時速50kmくらいで選手がそこを通過した時に当たると大惨事になりかねない。
バイク競技の開催さえ危ぶまれた。
フェンスは無くなり必要最少限のコーンに変更。
マラソンに変更するにもコースは狭すぎるし、これではハワイのクオリファイレースとしては
世界に顔向けできない。
アイアンマンと言うブランドでどういう形で大会をするか?
その判断、決断のプレッシャーは相当なものであっただろうと
自分が実行委員長だったらと思わず想像をしてしまいました。

  
バイクの最初の上り        往路と復路はこんな感じですれ違う (2枚とも大会主催者)

[レース]
1番のキャメロンブラウンからスタート! 両サイドの声援が凄い! 人がびっしり!
それが979番目の私の時もあまり変わらず凄い盛り上がり!・・・・ちょっと照れる。
湖岸を3〜4kmほど走るが、風が強くDHポジションは取れない。飛ばされそう・・・・!
そして、すぐに最初の上りになるが、これは物見山を経験していれば問題なし。
その後、コース図ではフラットとされているところに入るが、実際はうねりのようなダイナミックなアップダウン。
しかし、追い風なので高速コース!・・・・・これが復路には大変なことになる・・・・・・・。

そして、バイクボトルの取り入れ動作が、強い風が舞っていて左右から殴りかかるようにに吹いているので
バランスを取るのが大変で思うようにいかなかった。
路面はオークランドより遥かに悪い。各ネジを強く締めないと緩んでしまう。
たった、90kmと舐めていたんですが、折り返したとたん空気の壁が後ろへ押し戻そうとして正面から来る。
こんな向かい風は初めて経験した!
往路の時、復路の選手がスローモーションに見えた理由がわかった。

同じホテルのハワイ出場経験者も同じことを言っていたんですが、下りでもペダルを回しつづけてやっと30km/hを維持。
上りでは10km/hを維持するのがやっと。
右から風が吹いている時、体重を右にかけて進むとまっすぐ走れる。すると、突然左からの風に変わる。
思わず中央の斜線まで持っていかれる。
私の前方を行く大学生がそれで転倒した。
ホンのゆるい上りでもこの向かい風で漕ぎ出しが出来ない。何度かチャレンジしていたようだが、
諦めて押して残りののぼり坂を登っていた。
私はその光景を時速9〜10kmのスピードで上りながらじっくり見ることができました。
ランの折り返しでその選手には抜かれましたが・・・・・・。

向かい風に圧倒されて手を離して用意していた補給食を食べる事ができず。低血糖になりかかる。
思わずエイドでエネルギージェルとバナナをゆっくり食べる事にした。
耳に吹き付ける風の音がうるさく感じる。ずっと鳴りっぱなし!
バイクコースでも居住者のいるところは声援が凄い!
65km過ぎからがキツかった!
ずっとDHポジションで漕いでいて、そろそろ70kmは過ぎただろうとメーターを見ると
まだ、67kmくらいしか走っていない。1kmが本当に長かった。


ランも市街地・居住地では声援が凄い。アップダウンも結構ある。
そこでの風との往路復路の関係はバイクと全く同じ。
上り坂では押し返され、左右に揺さぶられ、下り坂では後ろから無理押しされる。
ただ、ランは景色をじっくり見ながらやれるので気持ちがいい。景色は絶品!
コースも狭いので顔見知りとハンドタッチしながら楽しく走れる。
なら、もっと速く走れよ。と言われそうですが、アレはあれで精一杯でした。


私の前後に選手がいないので、フィニッシュラインに現れると突然盛り上ってくれる。
私が意識して練習して参加しフィニッシュゲートをくぐるのは8年ぶり!
アイアンマンの距離ではなくなったが、感慨深いものがあった。
正面にカメラがあったのは知っていましたが、長く映っていたとは・・・・・。


今回は強風という事だったが、毎回出ている人に話を聞くと復路はいつも風で悩まされるそうです。
新しくアイアンマンレースを開催するとき、権利に関するお金だけでなく
アイアンマンに相応しいかどうかコース設定、難易度などが調査されるそうです。
そして、認可された大会がアイアンマン○○と名乗れるそうです。


私にとってあの「うどんdeばいく」があったからこの強風を乗り切れた。
と皆さんに感謝! 感謝! です!

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