…土器王紀。
それは、かつて私が、はじめて購入したPSゲームソフトの名。
言い換えれば、自腹で買った生まれてはじめてのゲームソフトです。当時私はまだ財政的にキビシい養われの身。ちまたで新世代ゲーム機などと騒がれようとも、プレイステーションは所詮は高値の花でした。
そんな時でした、ふらりと立ち寄った、とあるゲーム屋の中古棚の真ん中に燦然と輝くこのソフトと出あったのは―――。
土器王紀〜土器王の治めし土器世界を、カワイくて不思議な土器人たちとワクワクの冒険をしよう的アドベンチャー☆〜
お値段、中古価格500エン也。
(安いよ!!)
しかしそのお値段よりも何よりも、私の胸は土器という単語にときめきました。土器?! 土器が動くとなッッ!!
しかも土器王! なんて凄そうな名前なんだ! これは買いたい。いや、買わねばなるまい。何としても土器たちとともにワクワクの冒険をせねばなるまいッッ!
ええ。当時から私は、土器が好きでした。そしてまた、今と同じくらい後先考えずに行動するタチでした…。
ソフトを衝動買いしてから、フト気が付いたこと。それは…
…ハードが無い。
そうなんですソフトを先に買ったんですよ、馬ッ鹿ですよねぇ〜。
当たり前なことですが、プレステソフトはプレステ本体が無ければ動きません。しかもその時は時期悪く、ちょうどFF7の発売が間近に迫り、プレステが売れまくっていた頃だったのです。
FF6のジョブシステムに嫌気がさして「FF? 別にどーだっていい」と思っていた私にとっちゃあ、寝耳に水。
何だと、本体買うには予約必須? しかも、いつ入るかわかんない?
私は土器王紀がやりたいだけなんじゃあ! F.Fなんざ誰かにくれてやらぁ! 土器王に逢わせてくれ!!!
…と、まぁ、熱いシャウトもありました。
そんな私がめぐり合ったのは、駅前のシー〇に客を取られて潰れかけのわん〇くこぞう。
品物の巡りも値段も悪くないのに、全体的な本数が少ないのと玄人向け品揃えのため客離れの進むわ〇ぱくこぞうは、昔のよしみで、閉店前セールと言ってプレステ本体の新品を、1万円ぽっきりで譲ってくれました。
ちなみに、その一週間後にその店はド〇モの携帯ショップに変わってました…。
あれは、わんぱ○こぞうの忘れ形見…?
何はともあれ、無事にハードを手に入れた私。世間がFF熱にかまけている頃、私は黙々と土器王紀をプレイしていましたとも。
いや、実は、二日ありゃ終わるゲームなんだけど(笑)。何回もプレイしまくってましたとも。
そのくらい、土器王紀。とてもいいゲームです。
この時代のゲームというものは、ゲームたる真髄を実によく分かっていました。
そう、ゲームには、ゲームにしか出来ないことがある。
小説で、あの臨場感は出せません。画像無しでは話にならないくらい、細部まで創りあげられた土器王国が展開されます。絵がなきゃダメです。
じゃあ画像ということてで、マンガならどうか。それもムリです。
たとえ画像があったって、フシギな動きをみせる街路樹? や、プリチーな身振り手振りでいろいろ説明してくれる土器人たちがいなくては、楽しくありません。
動きがよいのです。
さらにアニメ(動画)。これも却下です。
自分のテンポで、ゆったりゆっくり、ストーリー上あんまし関係ない土器庭園とか宇宙パズルとかに遊びに行くからこそ、土器王紀は楽しいのです。
他人のテンポで進められるアニメーションでは、のんびり土器王国探訪記が台無しです。そんでもってたぶん、セル画ではあの土器人のかわいらしさは出せません。
つまりゲームにしか表現できないThe 土器ワールドなのです。
まさにこれこそ、ゲームの中のゲーム。
たとえ画面が多少ムリしてても、世界観のわりにボリュームが少なくても、じつはストーリーが一本道でも、すべては土器人たちとのふれあい旅の楽しさで補って余りあるというもの。
寂しくなったらスイッチを入れて、川で釣りをしている土器おじさんとかに話し掛けてみたくなる。
それが癒し系ゲーム(笑)土器王紀の魔力なのです。
土器王国には、ステキな人々が住んでいます。
空中庭園で歌ってる白い土器の詩人さん。
地下墓地の管理をしているエライ土器じいさん。
昔かたぎな職人さんで、なぜか京都弁の土器親方。
何だか怪しい上にヤバげな(事実、悪役だったりする)土器神官。
素晴らしいです。もう土器とは思えないです。人間っぽいです。
ちなみにこのゲーム、マルチエンディングでもって最後は「この世界で一生くらさないか?」と言われて選択できるようになっています。土器人たちの言葉に心動かされた私はファーストプレイで人間の器を捨てて土器人に転生。見事、クリア後のエキストラを取りのがしました(笑)。
たぶん、プレイした人の多くが、このエンディングを見ているはずです。
いやもぅ。愛着湧きすぎて、「帰ってしまうんか〜…」と、土器の人たちに寂しそうに言われると「ここに残るよッ! 一緒に暮らそう?」…とか、言いたくなるんですってマジです。
他には、自分の住んでいる世界(この宇宙。土器語でウニバルというらしい)が消滅してしまって帰れなくなり、しかたなく土器世界で一生を終えるエンディングや、空とぶ凛々しい土器王に見送られて、ふつーに自分の世界に戻って来るエンディングもあります。
え? なんで世界が消滅するんだって?
それはね、このゲームがお気楽なアドベンチャーにみせかけて実は、悪の土器神官から宇宙の入ったつぼを守り、土器王を復活させて破壊神と戦うゲームだからなんですよ。
ねっ?! ちょっとドキドキしてきたでしょ! だいたい、あのプリチーにぺこぺこ動く土器人がどうやって戦うんだってんだよね。
それもご安心あれ。凄いです。たった今まですごい平和だった土器王国上空に、巨大な破壊神(どー見たって土器クジラだ)が出現した次の瞬間、壮大な音楽とともに、地面つきやぶって復活した土器王さまが専用武器を手に、必殺技インペリアルスピア(←勝手に命名)をぶちかまし、封印してくれます。
凄いですね!
ハリウッドも目じゃないですよ。画面にクギづけ間違いなし。FFのオープニングをはるかに上回る音楽効果と気合い入ったムービーでもって、素晴らしく土器戦争を彩ってくれます。
ああ、なぜ、なぜサントラ出してくんなかったの土器王紀。出せば絶対買ったのに。いい音楽だよ土器音楽。
OPや戦いの音楽は、今聞いてもすっごいドキドキします。是非見てください。そんでもって、土器の国を心行くまで旅してください。
もちろん、当時の同級生や知り合いにもバンバン勧めてプレイさしました。
パソコン買って、いちばん最初に検索した言葉もモチロン「土器王紀」。その時はヒット件数2件だけでしたが、今や土器王紀は古典中の名作として、人々に大人気! このページは日本で土器王紀をとりあげた、おそらく3ページめの記念すべきページですとも。
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プレステでプレイした2本目のソフトの名は、「ゲゲゲの鬼太郎」でした。
これもすっごいゲームです! アニメ版OPを無理やりポリゴンに直したカクカクしい鬼太郎一味が最高! そしてヘタなホラーよりはるかに心臓に悪いシナリオがGood! 特に3本目の「肉人形」は、プレイした人全員から「夜中に…夜中に歌が聞こえるの…(泣)」というリマインドを戴いたほどの高いレベルを誇っています。
音を伴う恐怖は、ヒトの深層意識を汚染する。恐怖に飢えているアナタ、まずはこいつをプレイして、斬新かつ真実の恐怖を、脳裏にトラウマとして焼き付けましょう。そして、夜中に肉人形ソングの幻聴に悩まされてみましょう(笑)。
そんで次が確か、WildArms…だったかな。
FFもやりましたが、プレイしたのは、友達がウチに忘れていったからでした。7はわりと好き。大空洞入るまではね。ラス・ダン大嫌い。なんなんスか、あれは。入るのが超めんどくさい…!
そんな私のステキなゲーマーライフ。
私の中で土器王紀は今も、マイ・ベスト1の座に輝きつづけています。
さあ! 今すぐアナタも土器人の世界へレッツ・ダイブだ!!☆