資料について


●このコーナーの参考資料は、「古代エジプトの秘薬」大澤彌生(産学社/2002)です。

訳者の本業は薬剤師。…と、いうことで、ヒエログリフや古代エジプト語のカナ表記については及ばぬ部分もあるものの、薬学に関してはかなり詳しいです。医療専門語も出て来ますので医療関係者が読んでもきっとトキメくことでしょう。(笑
大元は50年ほど前にドイツで出版された書物。その書物を元にエジプトで出版された、英語書の「古代エジプト王朝の薬学」を日本語に重訳したものが資料となります。


●注意点

ヒエログリフで記された植物の現代名なんて正確にわかるわけないので、学者によって説は違います。
ヒエログリフによる薬草使用の記録は、医学パピルスや、墓の壁画に書かれているものを元としていますが、医学パピルスの文字だけではそれが現代の何という植物にあたるのか分かりません。墓の壁画だと、絵も添えて薬草名を書いてあることが多いのですが、その絵がどれだけリアルかによって推測される答えが異なります。

たとえば、該当する植物が既に現存していない、または現存していても品種改良や気候変動で植生が変わってしまっている可能性もあります。(花の色や形が変わってしまっているとか、生えている地域が変わって今はエジプト周辺に無いとか)
もちろん薬草の現物も、乾燥した古代の草の把として見つかるのですが、その把ひとつひとつに薬草の名前を表記してくれているわけではないので、色んな種類の薬草がごっちゃに発見された場合、どれが何と呼ばれていたのかまで特定できないことになります。

ですので、古代エジプト語の名前と、現存する植物とを結びつける作業は、かなり難しいとご理解ください。たとえば、ヒエログリフで「ヘメアユ・テ」と書かれた植物は、ある学者の説では東南アジアを原産とするコロハですが、別の学者の説では現代のエジプトでも一般に見られるヒルバハという植物であるとなっており、どちらが正しいのかは分かりません。

資料では、古代エジプト語→ドイツ語→英語→日本語と訳されているため、ドイツ語での植物名、英語での植物名も書いてありますが、それが本当に古代エジプト人の言っている植物と同じものなのかは、まさしく古代エジプトの神のみぞ知る。
ものによっては日本に生えておらず、決まった和訳が無いようなものもあります。


●薬草名の元となっている、主な医療パピルスは以下のようなもの。

エーベルス・パピルス(内科系・臓器)
ハースト・パピルス(個人の覚え書き)
エドウィン・スミス・パピルス(外傷)
カフーン・パピルス(婦人科系)
大ベルリン・パピルス
ロンドン・パピルス
チェスター・ビーティ・パピルス第六番


面倒なので、それぞれの年代に関しては主要文献リストで探して頂戴。


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