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地域;高麗 | 出典;『高麗史』 |
新羅の最初の女王の話。
新羅の国の第二十六世真帝王の息女に、徳曼(とくまん)という人がいた。貞観六年辰年に即位して治世は十六年。この間に、予言したことが三つある、というのが「知幾三事」の由来である。
徳曼は、生まれつき賢い女性であった。
あるとき遠く唐の国の天子から牡丹の花の絵と種が届いた。(唐の国では牡丹の花を国花としている) この絵を見て、女王は言った。「この花には香りがないであろう」。果たして、種子から生えた牡丹には、全く香りというものが無かった。
次に、霊廟寺の池に冬だというのにたくさんの蛙が群がって騒がしく鳴き立てていたので、国の人々に問われた時である。女王は「兵二千を整え、西郊の女陰谷へ行き速やかに賊を捕らえよ」と命じる。果たして、その谷には百済の兵五百が潜んでおり、女王の言ったとおり簡単に捕らえることが出来たのであった。
どうしてこれが分かったのかと問われたとき、善徳女王はこう答えたという。
「美しい花ならば、蝶や蜂が寄って来てもよいはずのものなのに、絵には虫が全くかかれていなかった。だから香りが無いのだろうと思ったのです。これは唐の天子が、私に配偶者がいないのをからかったのですよ。
蛙の怒った形は、兵士の形をしています。また、玉門はすなわち女陰です。女性は陰であり、その色は白である、白は西であるから、西の女陰谷に逆賊の兵がいることが分かったのです。」
…前半はともかく、後半は、なんていうか…ノ○トラダムスの予言ばりにこじつけ臭いですが、結果的に当たってたのがスゴイですな。
なお、最後の一つは、女王が元気であった時代に自分の死ぬ日を予言した、というもの。
この女王が天文学に通じていたために、いまでも慶州には瞻星台(せんせいだい)という天文台の跡が、高く石を積み上げているという。もしかして、占星術でもやっていたのか…。
新羅の国でも、日本と同じく王となるには、やはり霊力が必要であったという。徳曼王女が女王になれたのは、日本のヒミコと同じくシャーマンとしての能力があったためだそうだ。朝鮮神話では、始祖となる王たちには超自然的な霊能力が必要不可欠とされている。彼女が新羅最初の女王であったことから、始祖王たちと同じく特殊な能力が求められたのだろう。