■アイスランド・サガ −ICELANDIC SAGA |
サイトTOP>2号館TOP>コンテンツTOP |
各国のキリスト教化と、その後の宗教改革による文学への影響まとめ。
デンマーク
北欧諸国の中で最も早くキリスト教化された国。古英詩「ベーオウルフ」は、英語で書かれているものの主な舞台はデンマーク近辺となっており、デンマークの古いヴァイキング伝説だったことが分かる。その後、スノリ・ストゥルルソンによる「エッダ」と同時代にサクソ・グランマティクスによる「デンマーク人の事跡」が書かれているが、キリスト教化が早かっただけに、伝説の解釈・脚色が「エッダ」に比べキリスト教的なものになっている。
その後、ルター主義によって聖職者が分裂、激しい対立となり、文学活動は一時中断。「デンマーク人の事蹟」は1514年に”再発見”されている。16世紀は文芸復興の時代となった。尚、デンマークにおける文芸の中心地はコペンハーゲン。
スウェーデン
スウェーデンでは、異教とキリスト教の共存は起こらなかったといわれている。他の北欧諸国がかつての自分たちの伝統とキリスト教的な要素を混ぜ合わせたのに対し、この国ではキリスト教とともに文字が入ってくると完全なキリスト教文学ばかりが作られた。
デンマークの追放後は、カトリックの名残の一掃が始まる。ウプサラ大学も一時閉鎖され、再開は17世紀。ウプサラ大学はインテリたちの牙城となった。
ノルウェー
アイスランドに移住した人々の故郷であり、アイスランドとのつながりも深かった。多くのサガを生み出した国である。
サガは13世紀ごろに質量ともにピークを迎え、その後は衰えていく。ノルウェーにおいてサガが作られていたのは15世紀ごろまでらしい。その後のノルウェー文学界からは、力強く生き生きとしたサガを生み出す活力は、失われていく。
ノルウェー王家の家系図とも言うべきサガ、「ヘイムスクリングラ」が”翻訳”という形で再び人の目に触れるのは1633年。スウェーデンと同じくデンマーク支配の時代があり、文芸復興は18世紀を待たねばならない。
アイスランド
ノルウェーから脱出した人々によって作られた国。移住の完了は10世紀ごろとされる。絶海の孤島のためキリスト教化されてからも比較的よく異教時代の伝統が残されており、多くのサガや詩が生み出され、今日の北欧神話資料となっている。また、「アイスランド・サガ」と呼ばれる独自ジャンルも発展した。
しかし、13世紀に独立を失いノルウェーに併合されて以降は、急速にその活力を失っていき、近代に至るまでほとんど空白の状態が続いていた。
2009/10/18