フィンランド叙事詩 カレワラ-KALEVALA

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ワイナミョイネンは当たり前! これがフィンランド魂だ?!




 フィンランド人には、妙に日本人と似ているところがあります。
 それは、「やたら国民性にこだわる」というところ。自分たちは周りの国から際だった個性を持っているがゆえに理解されがたい…、と、思い込んで(?)いるところ。

 そんなフィンランド人の国民性を一言でいいあわらす言葉が、「sisu」です。
 日本人に大和撫子や侍魂といった言葉があるように、彼らもこのsisu―――フィンランド人の文化的神話とでも言うべきものをとても大切にしていて、何かにつけて引き合いに出したり、会社の名前につけたり(おいおい)、健闘した者を褒め称えるのに使ったりしています。

 sisuの表すものは、肉体的な強さではになく精神的な強さ。気合いや根性に当たる言葉のようです。
 どんなに肉体が鍛えられても、強い精神なくしては力を発揮できない、ということでしょうか。精神的な強さが本質である、という考え方は、単にマッチョになればいいんだ、という欧米的な考え方とは違うかな、と思います。

 もっとも、この「sisu」という言葉が現在のような意味で使われはじめたのは、スウェーデンからの独立運動のころ(つまり、カレワラが編纂されたころ)からで、それ以降、現在のような意味あいが加えられていった…と、いうもののようです。

 また、sisuには、精神的な強さというプラス面があるかわり、「頑固さ」「強情さ」といったマイナス面も含まれます。sisuのせいで○○できなかった、なんていうのがソレです。なるほど、精神の強さは、時として悪いほうにも働くものなのだな、と思えば…
 そう、ワイナミョイネンじいさん。
 「カレワラ」の主人公であるジイさんも、精神力の強い大賢者サマですが、頑固でワガママ、はっきり言ってどうしようもないお人です。

 彼こそがsisuの体現であり、フィンランド人の特徴を凝縮したものだとすれば…
 ああ、多すぎるsisuってのも考えものなんだな、と(笑)。

 いい意味でも、悪い意味でも、フィンランド人の特性を示すワイナミョイネン。日本人の英雄観からすると、ちょっとアレな感じのジイさんですが、もしかすると、当地の人々にとっては、すんごい身近で親しみの持てる人物なのかもしれません。

 さすがは民族叙事詩と名前がつくだけあって、民族の心をがっちりキャッチ。「カレワラ」を通して、少しフィンランド人の心が見えた気がします。
 独立運動に「sisu」が合言葉に使われたこと、そしてまた、「カレワラ」が民族の誇りとして掲げられたことを考えると、ワイナミョイネンとsisuの意味が重なることは至極当然なのかもしれません。


※なお、この「sisu」に関するレポートは、松村先生のサイトを参考にさせていただきました
…いちおご本人にメールで連絡はとった(だいぶ前ですが)のでパクリではないですよ(笑)。




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