フィンランドの神様たち
「ギリシアの神様」「日本の神様」「エジプトの神様」…こう言えば、大抵の人は、いくつかの名前を思い浮かべることが出来るでしょう。でも、「フィンランドの神様」って言ったら?
よっぽどフィンランド好きじゃなきゃ出てこないと思います。ちなみにムーミンは神様ではなく妖怪です(笑)
そこで! フィンランドの神様たちの名前とルーツを探してみました。やっぱフィンランドの神様もメジャーにしてあげたいからね(笑)
すると、やはりと言うべきか、フィンランドもかつてはインディアン伝承と同じく「動物崇拝」圏だったということが判明しました。
寒冷な気候と狩猟採集民族という点ではフィンランドも、インディアン伝承のひとつ、ワタリガラス神話が作られていたアラスカと同じです。最初の頃は、天地を作った神々は動物の姿をなさっていたわけですね。
それが、時代が近代に近くなるにつれ、動物から人の形をした神々、あるいは英雄たちへと信仰が移り、イルマリネンやワイナミョイネンが登場します。
しかも、さらに調べてびっくり。ワイナミョイネンは本来、婚姻を司る神だったかもしれないという!
男女の永遠の結びつきの後見人が、どこでどう間違ったら「カレワラ」に登場するような色呆けジジイになるのでしょう。神様でも人生踏み誤ることってある…んでしょうか。^^;
また、イルマリネンの場合、名前の語源からして、元々は「大気の神」だったそうです。
他の多くの神話では、大気の神というのは天の神・地の神に続く古い高位神。それに倣えば、もともとはかなりの信仰を集めていた存在なのでしょう。その「大気の神」に英雄的要素と「天を造る鍛冶屋」という設定が合わさったものが、カレワラの中に語られているイルマリネンになると考えられているようです。
このように、元をたどってみると、ワイナミョイネンもイルマリネンも、半神半人のスーパーヒーローであったことになります。(そのわりに…アレだけど。)
さらに、その他の神々についてですが…。
こちらは、皮肉にもキリスト教の司祭が「悪魔」として記録してくれたお陰で現在まで伝わっています。
キリスト教の一派ルーテル教の司祭、アグリコラによって記された「フィンランドの悪魔」は全部で23名。その目録は以下のとうり。
ハメ地方の神 11名
ワイナミョイネン、イルマリネン、トゥッティ(住まいの守護神)、
クラッティ(富の守護神)、タピオ(森の守護神)、アハティ(水の守護神)
リーキオ(殺された子供の霊)
ヒーシ(森の精霊)、ウィーデン・エマ(水の精霊) …その他5名
カレリア地方の神 12名
ウッコ(至上の神)、ウラニ(ウッコの妻)、ケクリ(農耕・牧畜の季節の終わりを司る)
その他…キリスト教の聖人だったのに、忘れ去られて悪魔にされちゃった人たち。
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と、こんなカンジです。
気の毒といえば、聖人だったのに悪魔にされちゃった人たちが気の毒ですが、それにしても精霊から子供の霊から何とも雑多に詰め込んでいる感じがします。神だろうが英雄だろうが精霊だろうが、教義にあわないものは全部ゴミ扱いという態度が気に食わないですね、アグリコラさん。
この目録に出てくる神々には、「カレワラ」の中に登場する神も、そうでない神もいらっしゃいますが、少なくとも彼らは、キリスト教がノコノコやってくる遥か以前から、森に、河辺に、野原に暮らしていた存在です。
なのに、今では、彼らがどのように信仰されていたのか、どんな性格だったのかは、ほとんど分かっていないようです。
唯一の歴史資料が、彼らを異端視して悪魔扱いした記録だった、というのは…何とも、お気の毒な。
可愛そうなので、ウッコとタピオくらいは覚えておいてあげましょう。フィンランドに行くことがあったら、何かのとき助けてくれるかもしれません。
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