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グートルーン あらすじ/4
こうして、攫われてから長い年月 (13年。叙事詩で言う年月は誇張が入っているので正しい年月とは限らない) が経ちましたが、グードルーンは未だハルトムートには心を開かず。
どんなに折檻されても、王母ゲルリンクには口答えするばかりです。
彼女と一緒にさらわれて来た乙女たちも、同様に折檻を受けて低い身分に落とされていました。
さらに、あの、歳をとらない不思議な乙女・ヒルデブルクは、グードルーンの処遇に文句を言った事から、一緒に、辛い洗濯をやらされることに。冬でも、吹きっさらしの浜辺に出て、お洗濯。彼女たちは王女ですから、これは屈辱的な仕打ちです。
その頃、グードルーンの母国では、時が満ち、いよいよ報復に出ようという時になっていました。
オルトウィーンは逞しく成長し、軍を整え、船が作られ、老戦士ヴァーデをはじめ、ホーラント、イロルト、モールング、もちろんヘルヴィヒも、さらに同盟を結んだジークフリートも、みんなして遠いノルマン国へと出航します。途中、色々な苦難に出会いつつも、殺された同胞、主君、父、そして攫われた乙女たちのことを思い、あの日の屈辱を晴らすことを胸に抱いて、いざ行かん!
ヴァーデの指揮で、ハルトムートの国近くに潜んだ軍は、さっそく斥候を出しました。
これには、皆の反対を押し切ってオルトウィンとヘルヴィヒが立ちます。彼らは小船で城近くの浜辺に乗りつけますが、浜辺と言ったら、そう、あのグートルーンとヒルデブルクが洗濯をしている浜辺です。
船でざっぱんと乗り付けた、オルトウィンとヘルヴィヒ。
「おはよう、美しいお嬢さんたち! この国は何という国で、王はどなたですか?」(爽やかに)
グートルーンたちはもちろん、相手が誰なのか分かっているのですが、自分がみじめな格好をしているためすぐには言い出せず、逃げて身を隠そうとします。
「乙女たちよ、そう逃げないで、私たちの問いかけに答えておくれ。」
もうむっちゃくちゃキザ全開な言葉(とポーズ)で迫るのですが、そういうノリは2人にとっても久しぶり。とりあえず名前を隠して国の名前や状況などを告げるのですが、そのうち、オルトウィンもヘルヴィヒも、目の前にいるのが取り戻しにやって来たグートルーンなのだと分かってきます。
オルトウィン「姉上、この国には洗濯する以外の仕事はないのですか? なぜ王妃であるあなたが洗濯なんかしているのです。」
グートルーン「私は王妃ではありません。ハルトムートの嫁になることを拒んだだめに、このような仕事をさせられているのです。」
洗濯する以外の仕事が無いって…。んなわけないのに、オルトウィン、さりげに面白いこと言います。
互いに名を明かしあい、再会を喜んだのも、つかの間。
今ここで2人だけを連れ帰ったら、残された50人の乙女たちが殺されてしまうかもしれない、自分たちがこの国へ来たことはまだ知られてはならない、そう考えたオルトウィンは、どうか今すぐ連れ帰ってくれという姉の頼みを断り、自分たちは明日、軍勢を率いてまたやって来る、その時必ず助けるから待ってほしい、と言い残します。
計略的には賢明ですが…肉親の情より、作戦を取ったね…?(笑)
あと一日。あと一日、耐え切れば、このみじめな生活ともおさらばして、王女として相応しい暮らしに戻れる。
そう知ったグートルーンは、ヒルデブルクの止めるのもきかず、今まで洗濯していたゲルリントの衣服をうっちゃり、「こんなもん洗濯しとれるか! うちは高貴な姫さんやでェ」とばかり、かなり勢いよく王宮に帰ります。
プチ切れたみたいですヒロイン^^;
待っていたのは、いじわるなゲルリント。
服を流してしまった、と言うグードルーンをいつものように折檻しようとしますが、グートルーンは高笑いして返します。
「そんなこと言ってよろしいのかしら。私は、あなたの息子の嫁になる女よ? 私が王妃になったら、あなたをどうするのも、私の自由なのですからね。」
うーん。性格変わってるやん。君。
これを聞いて、ようやく決心してくれたかとゲルリントは大喜び。
「あんたが息子の嫁になってくれるのなら、服くらい無くしたってどうってことはないよ。私の娘になるんだからねえ。」
あんたも、いいのかそれで。
この知らせを受けたハルトムートは大喜び。長いこと求婚をつっぱねていた王女が、ついに自分のものになるという。
すぐさまグートルーンを迎えにやらせ、王女らしい高貴な服装を整え、彼女とともに攫われ、女中としてコキ使われていた乙女たちも、風呂に入って美しく装いなおしました。
「さあ婚礼だ、すぐ婚礼だ。今すぐ宴を整えろ!」
と、城はにわかに大忙し。グートルーンの計略によって、お祝いに人を招くため、城から使者が送り出され、兵力が手薄にされてしまいます。また、自分とともに攫われてきた乙女たちをひとつの部屋に集めることで、翌日の脱出に備えました。
何も知らない乙女たちに、助けが来ることを知らせるグートルーン。彼女は、嬉しさに耐え切れず高笑いをします。
その高笑いを耳にしたゲルリントは(そんなによく聞こえる高笑いって…。)一抹の不安を覚えるのですが、夫も、息子も祝い事に夢中で、取り合ってはくれません。
…。
そしてついに、夜が明けました。
「朝だ!」
「祝いだ!」
「敵襲だ!!」
城の人々「何ーーーー?!」
そうです。城の前には、すでに大軍が押し寄せていました。城の守備は300、攻めてきたのは8000。アレ、前にヘッテル王を倒したときの兵は…何処…(汗
ハルトムートは、攻め込んできたのがヴァーデやジークフリートやヘルヴィヒなど敵対者であることを知るや、すぐさま軍を整え、防戦に出ます。
しかし多勢に無勢。状況は不利でしたが、ハルトムート強い。ハルトムートの父、ルートウィヒも強い。
ヘルヴィヒ、老王ルートウィヒにブン殴られて落馬! …なっさけねぇぇぇ…。
見上げれば、城の窓にはグートルーンが。
「ああ! 見られてしまった。なんたる屈辱!」
確かに屈辱、というか、ふつう恋も醒めると思いますが。
気合いを入れ直したヘルヴィヒは、再びハルトムートに向かっていき、今度は討ち取ることに成功します。
キレたゲルリントは、グートルーンを殺せ! などと怒鳴りだし、グートルーンも大ピンチ。城の内外がパニック状態。
そこへ駆けてきたのは、城でたった一人だけ、グートルーンによくしてくれた、ハルトムートの妹・オルトルーン。
「お願いよ、グートルーン。私たちの友情に免じて、この戦いを終わらせて。すでに父は死に、このままでは兄も失われてしまう。」
「そうね…わかったわ。あなたの友情に免じて」
窓に立ったグートルーンは、窓の下にしたヘルヴィヒに声をかけ、どうかハルトムートを助けてやってほしい、と願います。これを聞き、ヴァーデとハルトムートの一騎打ちに割り込むヘルヴィヒでしたが、邪魔をするなとばかりヴァーデに殴られ、あえなく気絶。
…なっさけねぇぇぇ…。
ヴァーデはハルトムートを人質にし、気絶したヘルヴィヒをほっぽりだして城攻めにとりかかります。ええ。ほったらかしです。(笑)
城にヴァーデが入ってきたとき、オルトルーンだけでなく、今や、あの居丈高なゲルリントも、助けと慈悲を求めて駆け込んで来ていました。あなたを助ける義理なんか無い、と言いながらも、グートルーンは、乙女たちの後ろに隠れていなさいと入ってります。
しかし、王妃は、まもなく王妃を探して部屋に押し入ってきたヴァーデに見つかってしまいます。王女に洗濯させた報復として、ゲルリントは首をはねられてしまいました。相手がご婦人でも容赦しない。ヴァーデ怖し。
こうして戦いが終わり、乙女たちは解放され、それぞれの国へ帰れることになったのでした。
…ま、かなり血なまぐさいことになっているんですが、これにて、めでたし、めでたし。