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グートルーン あらすじ/3

・・・やっぱり美人な娘への求婚者



ヘッテル王は大変な親馬鹿でした。(またか)
妻を愛し、子供たちを愛し、家族のためなら国でも棄てそうな勢い。妻のヒルデとの間には娘グートルーン、そのあとに息子オルトウィンを得て、娘は美しく気高く、息子は師匠ヴァーデのもとで次代の王としてみっちりと鍛え上げられ、それはそれは幸せそうなご家庭です。
ここのパパさんも、娘が年頃になっても嫁がせるのは絶対イヤだなどと言い出していました。思春期を迎えた娘に彼氏が出来たらキレだすような感じで。
一国の王も、やはり人の子の親なのか…。それにしてもな。同じパターンが続くとな。

それでも娘が美人だと、彼女をお嫁さんにしたい若者たちはパパを恐れつつやってきます。
まず、やって来たのはノルマンディーの王子ハルトムート。しかし、求婚の使者たちは、遠路はるばるやって来たにもかかわらず「何でお父様の家臣だった一族に娘をやらなきゃならないの? お断り。」と、王妃ヒルデに激しく蹴られて終わり。諦めきれず、一介の騎士のフリをして城に忍び込みましたが、王女はこれも拒絶。
結婚前に本人と会うことさえ少ない中世の求婚で、本人と話をしてるのにフッたということは、王女は本当にハルトムートが気に入らなかったのではないでしょうか(笑)
いるんだよね。顔も家柄も良くて、何の非の打ち所もないように見えるわりに、どうも物足りない男…。(どんなですか)

さらに隣国ゼーラントのヘルヴィヒ王もやって来ました。隣国なので、ハルトムートの国よりは遥かに近いです。この王様、あまり何回も求婚を拒絶されているうちに、だんだんといらだってきました…。

 「娘さんをくれないなら、こちらから奪いに行くまでだ!!」

戦争の始まりです。
この戦いがあまりに激しかったので、グートルーンは自分のために血が流されるのは好まない、と和解を望み、婚約を承諾します。
戦って勝てないんなら最初ッから求婚蹴らなきゃいいのに。後先考えないパパですよね…。


もちろん、これで終わりではありません。グードルーンはまだ婚約の状態です。正式に結婚するまでは勝機あり!
まだグートルーンを諦め切れないのは、異教の国モールラントの王、ジークフリート。婚約まであと一年?! だったらその前にヤツを殺る! と、ばかり、いきなりゼーラントに攻め込みました。
婚約者を救ってくれ、と父に頼むグートルーン。ヘッテルパパは承知して、いずれ娘の婿になるはずのヘルヴィヒ王を援助に向かいます。
それを見ていたのが第2の男・ハルトムート殿。他の2人の婿候補たちが潰しあっている今がチャンスとばかり、ガラ空きになったヘッテル王の国へ乗り込んで、王女グートルーンと、おつきの乙女たちを無理やり攫って行ってしまいます。まさしく傾国の美女。3人の王たちが取り合いしてます。
母ヒルデが大急ぎで送った知らせを受け取ったパパ・ヘッテル王は激怒でした。
すぐさま戦いを中止すると、ジークフリートとは和睦を結んで、ともにハルトムートを追いかけます。戦ってる場合じゃない、ということでしょう。なんせ、戦いの元になった姫が攫われちゃったのですから。

途中、ウェルサンペントの島で追いついたヘルヴィヒの家臣たちとハルトムートの家臣たちは、激しい戦いとなります。
けれど、この戦いはあまりに激しくて、グートルーンの父・ヘッテル王は、ハルトムートの父・ルートウィヒ王によって討ち取られてしまいます。
パパ、娘を取り返すための戦いで戦死。父は、愛に命をかけた…!

 オルトウィン「父上ーーーー!」

若い王子の肩には、一挙に、「父の仇討ち」「姉を取り戻す」「国を継ぐ」という様々な重荷がのしかかることとなりました。良かったねヘッテル王、娘だけじゃなくも息子も作っといて。
ノルマン人たちが夜のうちに逃げてしまい、こちらも王を失って深追い出来そうにもない状況だったので、追跡はいったん中止されます。なんせ連チャンで戦ってますし、王が倒れた後では、内政の建て直しも大変でしょうし。
かくてグートルーンは、国の準備が整うまで助け出してはもらえない状況に、取り残されることとなったのでした。


しかしグートルーンは、自分を力づくで奪い、父を殺した者たちの国の王妃になることは望みませんでした。
自分には婚約者がいるのだし、何より父や味方の騎士たちを殺した男の嫁になんてなるものかい、と。(←ここらへんが微妙にゲルマン)

ハルトムートの妹・オルトルーンだけはグートルーンに同情するのですが、ハルトムートの母・ゲルリントは、言うことに従わないグートルーンを疎ましく思います。ザ・鬼母と化し、攫ってきた他国の高貴な乙女たちをビシビシと折檻して、従わせようとするのです。
ハルトムートも、最初は「母上。彼女たちにもっと優しくしてください。」なんて言うんですが、ゲルリントは「何を言うの。そんなふうに甘やかしているから、あの娘たちはつけあがるのです。若い者のしつけは、私に任せておきなさい!!」…なんて。母親に押し切られてるあたり、マザコンくさい王様です、この人。
しかも、折檻はだんだんエスカレートしていって、ついにはグートルーンたちを自分の召使いとしてコキ使うようになってしまいます。
裸足で海岸に洗濯に行かせたり(塩水で洗濯すんのか? と、いうツッコミは却下。たぶん河口あたりなんだと思う)、寒いときは暖炉に火をくべさせたり。
グートルーンは王女のプライドと意地から、「ハルトムートの嫁になるくらいなら、召使のほうがマシだ」などとひたすら耐えるし、ゲルリントはそれが気に入らないし。
こうして、男たちの世界とは別に、女たちの間でも、激しく静かなバトルが勃発するのでした…。


次回、「大奥」編 〜女の下克上〜 (嘘)

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