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-Oher Myths of german

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グートルーン あらすじ/2

ハーゲンの結婚と美人な娘への求婚者



ハーゲンが呼び止めたその船は、ハーゲンの父、ジゲバント王の国アイルランドの隣国、ガラデー国の伯爵のものでした。実は敵対関係です。
「おい、そこの船!」
いきなり呼び止められた船もそりゃあびっくりです。なにやらボロボロの衣服を身に纏った男女なんですよ。怪物みたいに見えても仕方ありません。
しかし、言葉はしゃべってるようだし、そうっと船を寄せてみて。
「われわれは、自分の国に帰りたいのだ。」
どうやら遭難者らしい、ということで、船長は衣服を貸し与え、人間らしい格好をさせてみることにしました。すると、何ともこの少年少女には気品があるではありませんか。
そこで「あなたがたは何処の人で?」と、問うてみます。ここで、はじめてハーゲンと一緒にいた少女たちの身分が明かされます。

いちばん年上の少女が言いました。
「わたしは、遠いインドの生まれなのです。父は王でした。悲しいことですが…そこへはもう戻れないでしょうね。」
まあ、そりゃ、アイルランドからインドまで行くのは、ちょっと遠いですよ。

次の少女が、口を開きます。
「わたしも、遠いポルトガルの生まれです。父は強大な君主でした。」
アイルランドからだったら近いような気もするんですが、囚われてたところから遠かった、という解釈も出来ますね。

最年少の少女。
「わたしはイーゼルラントの生まれです。グリフィンがそこからわたしを攫って来たのです。」
何処だイーゼルラント。^^;

なんだかえらいマチマチな回答です。インドにポルトガルにイーゼルラント。どうしてインド人と言葉が通じるのかは謎です。そして、どうして唐突にインドなのかも。一人だけ色黒なんでしょうか? そんな遠くまで遠征するのかグリフィンって?
不思議な地理感覚です。

と、自己紹介が済んだ後、ハーゲンは船の持ちぬしの伯爵に、自分の国へ向かうよう言いつけました。しかし、ハーゲンの父と敵対関係にある伯爵は乗り気では無い様子。ハーゲンはキレて、阻もうとする船乗り30人を海に投げ込んでしまいました…ああ…。勇者様の乱暴狼藉はお約束過ぎる。これでは、嫌がっていた船長も渋々言うとおりにいるしかありません。力づくです。

ハーゲンの帰国。
息子はもう死んだものと思っていた両親は、逞しく成長して戻ってきたハーゲンに大喜び。ハーゲンは、島で暮らした3人の少女たちを自分の国に引き取って、最年長の少女、インドの王女ヒルデと結婚し国を継ぎました。
て、いうことは、王妃様はインド人? …大丈夫なのか…。  インド人にどうしてゲルマンな「ヒルデ」なんて名前がついているのかもツッコミどころですけどネ。^^;
いいや。本人たちは幸せだって言ってるんだし…。

+++

こののち、イーゼルラントの王女はノルウェーの王子と結婚して物語の舞台から姿を消します。残る一人、ポルトガルの王女だけはハーゲンのもとに留まることになりました。
ハーゲンとヒルデの間には、やがて美しい娘が誕生し、母とおなじヒルデという名前をつけられます。
こうなると、ハーゲンにも親ばかの血が騒ぎ始めます。(ここの家系は、本ッ当に、子供出来ると性格変わる家系なんです。)
ひとり娘のヒルデが美しく成長すると、ハーゲンは求婚の使者を斬り殺す鬼パパに。
 「オレより弱い男に娘はやらん!」
んなムチャな。
グリフィン・スレイヤーの野生の騎士殿は各国から恐れられる存在となっていました。
王様の無茶っプリを諌めたくても、グリフィン斬り殺しちゃうくらいの人なので、なかなか、注意も出来ないんですねぇ。


さて。
そんなこんなでパパは怖いものの、娘の美しさは変わることなく。ここに勇敢なる若者がひとり。それは、デンマーク(ヘデリンゲン)の王、ヘッテルでした。
王は、部下のモールンクに薦められ、このヒルデを妻として迎えようと思い始めていました。
なーに、「娘さんを私にください!」って言ったらパパさんに怒鳴られるのは、どこのご家庭でも同じっスよ♪←そんな王様おらんちゅーねん

モールンクは最初、このヴァーデの甥ホーラントを求婚の使者として送ってはどうか、と進言します。ホーラントは、昔ハーゲンのもとに仕えていたことがあり、人となりも良く知っているだろう、というのです。それに強いし。
けれど召喚されたホーラントは、ハーゲンの親馬鹿っプリも良く知っており、求婚になど行ったら殺されてしまう、行きたくない。と、言い出しました。
行かせるなら、叔父のヴァーデにすればよい。なんせ、この国最強の戦士なのだし。
ぶっちゃけ、尻まくって逃げたわけです(笑)

呼ばれてやって来たヴァーデは、ヘ高名な戦士で指南役。「シドレクス・サガ」のヒルデブラント師匠や、「ニーベルンゲンの歌」のハゲネと同様の地位です。確かに戦士筆頭に挙げられる勇士です。ヴァーデは渋い顔しつつ、王の頼みと受けますが、ホーラントとフルーテも一蓮托生で一緒に行かせてくれと願います。なんだ、ホーラント。君逃げないのか、いい奴だな。


 かくして、ヴァーデの求婚大作戦が始まりました。


そのまんま行ったら野生のハーゲンにマジで殺されてしまうので、彼らは商人に身をやつし、ハーゲンの国へ出向くことにします。けれど商人で無いことがバレるのは承知の上。彼らは「実は王に追放され、商人のふりをして流れ着いた者たち」と、いう設定でやって来たのです。それなら、演技がヘタでも問題なし。意外と知能犯。
ホーラントはかつてハーゲンのもとに居た、という設定のはずなのに、ここで何の反応も見せていないのは不思議なところです…


さて、ヴァーデたちは、商人の持つ商品、と見せかけた贈り物をたっぷりと王に渡し、王と模擬試合をしたり、美しいご婦人たちと語らったりと優雅な毎日を送っていました。
けれど、目的はあくまで、「姫様強奪」。どうにかして、王女ヒルデと個人的に話をつけ、自分の意思で国を出ていただかなくてはなりません。無理やり攫っていくのでは、風聞に関わりますし、あとあと面倒です。
そこで、勇士ホーラントが得意の声で美しい歌を歌って女性たちの気をひくことにしました。
彼の美声に人々はみな聞きほれ、ことに、王女ヒルデがたいそう気に入ります。ぜひとも、この勇士に自分のための歌を歌って欲しい。そこで、父の目をぬすんでコッソリ自室に招きいれ、歌を聞かせてとせがみました。
 チャンス。
二人きりになったところでホーラントは、彼女に、自分がこの国に来た真の目的を語りました。
さらに、あなたが自分の国へ来て主君の妻となってくれるのなら、私はあなたのために毎日歌を歌いましょう、それどころか主君のところには、自分より歌の巧い勇士たちがいるんですよ、と。歌で釣ったのです。(…それで、「いいわ、あなたについていきましょう」なんて言う姫様もどうよ、とか思うんだが。)

ホーラントは、ヒルデを連れ出す作戦を練ることにしました。彼のイトコが、宮廷に侍従長として仕えていたことも功を奏します。知ってて見逃してくれたんですから。
かくて、ハーゲンの国を去る日がやって来ます。
ホーラントらは、かねてよりの打ち合わせどおり、ヒルデ一人を攫って、大急ぎで船を出しました。
ハーゲンはもちろん、カンカン。すぐさま追いかけようとするのですが、ハーゲン王の船には、みな底に穴が開けられており、すぐには追いかけられません。
その間に、船は無事にヘッテル王の国へたどり着き、ヒルデは王に迎えられて妻になります。この国には、かつてヒルデの母とともにグリフィンの洞窟に暮らしていた、ヒルデブルクという乙女もついて来ておりました。
ヒルデブルクは、未婚のまま年をとっていないのです。まるで戦乙女のような人です…。

そのあとで、娘を追っかけヘッテル王の国へ怒鳴り込んで来たハーゲンパパ。「俺より弱いやつに娘はやれねぇ!」いざ男同士、拳と拳で語り合うとき。
夕焼けの城前で殴りあう二人。ヘッテルの右ストレートが、ゴウと唸る!

 ヘッテル「娘さんを私にください!」
 ハーゲン「ダメだダメだ。お前のような奴に娘はやれーん!」
 ヘッテル「どうしてですかッ。私は本気ですっ!!」ガッキーン!(左ストレート)
 ハーゲン「くっ…ぐふっ…」(がっくりと膝をつく)
 ヒルデ「パパ!」
 ハーゲン「くふぅ…いーいパンチだ…。」
 ヒルデ「パパ、大丈夫?!」
 ハーゲン「大丈夫だ、ヒルデ。…ふ、わしとしたことが。もう、若い者には勝てん、ということか…。」
 ヘッテル「お義父さん…。」
 ハーゲン「(立ち上がりつつ)お前の本気はよく分かった。いいだろう。娘を連れて行くがいい」
 ヒルデ「パパ、それじゃ!」
 ヘッテル「私たちの仲を認めてくださるというのですか?!」
 ハーゲン「幸せに、してやってくれ…。」

黄昏に染まるハーゲンの背。去り行く父の目には僅かに涙が光っていた…。

とかいう展開です。だいたいのカンジ。(マジで。)
相手が自分より強く、さらに強大な国の王だと知るや、しょうがない、娘はあなたにやろう。
もう結婚しちゃってるので連れ戻せない、ということか…父も複雑な気持ちだったのでしょう。
真っ向から正々堂々と求婚に行った、他の国の王たちは一体。
ちょっと納得できないながら、本人たちが幸せそうなら構わないか? ま、めでたし、めでたしってことで。

+++

話はさらに続き……。
いよいよ表題のグートルーンの世代へとたどり着きます。
この物語の主人公・グートルーンとは、ヒルデとヘッテル王の間に生まれた娘なのです。

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