■シャルルマーニュ伝説 |
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つっこみルネッサンス
さて、フランスを出たアグラマンは、船に乗って地中海を横断、故国へ帰ろうとしていた。
だが港に近づくと、なんとそこにはアストルフォをはじめとするフランス軍精鋭部隊(なりゆきで結成)が駐屯しているではないか。今、負けてきたばっかりなのに敵陣に突っ込むなんてことは出来るはずもない。
あわてて船の向きを変えるも、運悪く嵐で海が荒れてきた。このまま別の港にたどり着くことも出来そうに無い。
そこで、アフリカ大陸とシチリア島の間にある小さな島、ランペドゥーサへと避難する。
そこで、アグラマンはセリカン王グラダッソと再会するのであった。
フツーに考えれば、アフリカの王でイスラム教徒なアグラマンと、中国の王で儒教(この時代は仏教?どっちだ)徒のグラダッソ、気が合うはずもないのだが、ルネッサンス期のイタリア人にとっては、どっちも異教徒でおんなじようなモンとして見えてたらしい。
敵の敵は味方、というのか、ガッチリ抱き合うアグラマンとグラダッソ。
グラダッソは、オルランドゥから名剣ドゥリンダナを、リナルドから名馬バヤールを奪い、自国へと帰る途中だった。
だが、オルランドゥがこの近くに来ていると知るや否や、手に入れたエモノの価値を、是非とも試してみたくなった。「今や、このわしこそが最強の戦士! わしがオルランドゥに勝負を挑もう。貴殿らはそのすきに国へと帰られるがよい。」
ちょっとムッとするアグラマン。尻尾巻いて逃げるなんて、王としてのプライドが許さない。
「ご忠告はありがたく受け入れよう。だがオルランドゥと戦うのは、このわしだ。」
アグラマンに付き従っていた老戦士ソブリノが言う。「ならば第三の道をとろうではありませんか。我らは三人。ならば向こうも三人いたほうが宜しかろう。オルランドゥに、仲間を連れて三人でこの島へ来い、と、果たし状を送りつけるというのは、どうでしょう?」
チーム戦である。
この案はすぐさま採用され、使者はアフリカ沿岸に陣を張るフランス勢のもとへ送られた。ドゥリンダナをどうやって取り戻そうかと思っていたオルランドゥは大喜び。ゼルビノの仇も討てるし一石二鳥!
オルランドゥ「と、いうわけだ。一緒に行ってくれるな、オリヴィエ! フロリマール!」
オリヴィエ「君と戦うのは、なんだかものすごーーく久しぶりな気がしますよ(気のせいじゃなくて本当に)」
フロリマール「喜んでお供いたしましょう!」
かくて三人を乗せた船は、決戦の地・ランペドゥーサ島へ。
向かい合う双方の騎士たち、オルランドゥはグラダッソと。フロリマールはソブリノと。オリヴィエはアグラマンと。騎士なら一対一の戦いが基本だが、このときの戦いはプロレスと同じでチーム戦なのである。フロリマールがソブリノを落馬させれば、オルランドゥがトドメをさしに行き、その間、フロリマールがグラダッソの猛攻を防ぐ、といった具合である。
グラダッソは自分こそ最強だと思っていたかもしれない。だが、どんなにいい装備をつけても、力の差は埋められない。
オルランドゥにじりじりと押されて、傷の増えてゆくグラダッソ…だが、一騎打ちではなくチーム戦である以上、単なる力の差で勝負は決まらない。戦ってる最中に、自分の味方を助けるために横槍入れるのもOK!
ソブリノの横槍で落馬し、倒れた馬の下敷きになるオリヴィエ。同じく落馬したアグラマンに一撃を加えくとするフロリマールに襲い掛かるグラダッソ…
フロリマールに致命傷の一撃。それを見たオルランドゥは、怒りに燃えてアグラマンとグラダッソに襲い掛かる。
オルランドゥの一撃を目にしたとき、グラダッソは、生まれて初めて恐怖したという。だが、もう遅い。怒れるオルランドゥを止めることは、親友オリヴィエにも出来ないのだ…。
ざ し ゅ っ
――こうして、戦いは終わった。
だが、生き残ったのは、6人のうち僅か4人。
フランスの勇士たちが戻ってきたとき、出迎えに訪れたフロルドリは、夫が戦場で死んだことを知る。その嘆きはいかばかりか。
敵側で生き残った老兵ソブリノはキリスト教へと改宗した。奪われていたドゥリンダナとバヤール、そして、元々オルランドゥの馬だったがアグラマンの乗っていたブリリアドロも回収された。
指揮官アグラマンを失ったアフリカ軍は瓦解。かくて、長きに渡るフランス軍とアフリカ軍の戦いはここに終わりを告げ、戦士たちの前に、新たな局面が訪れようとしていた――。
…さて次回からは、いよいよブラダマンテ&ロジェロのラブストーリー最終章。
驚天動地のクライマックスまでカウントダウン。疾駆する彼らのアツい青春を見逃すなッ!(笑)