シャルルマーニュ伝説
-The Legends of Charlemagne

サイトTOP2号館TOPコンテンツTOP

つっこみルネッサンス

愛は風の如く−約束−



 お話は、リナルドとの戦い中、自国軍の裏切りによって戦いを有耶無耶にされたロジェロへと戻る。
 自分の仕えていたアグラマンが卑怯者であることは、これではっきりした。――しかし、それでも、一度は従った身、何もいわずにシャルルマーニュ側につくのはどうだろう、と迷っていた。
 適度に恩義の堅い男である。
 そんなわけで、船に乗ってアフリカに渡ろうとしたのだが途中で嵐に遭い、船が転覆。
 これはもしかして神罰か?! キリスト教徒になるとブラダマンテに約束しておきながら、今日まで洗礼を遅らせたからかッ! ロジェロは後悔し神に祈る。すると神は彼を近くの小島へと押し流し、そこで隠者と出会わせ、洗礼を受けさせたのだ。
 神様って、あくどいよな。

 その頃、ロジェロと別れたリナルドはというと、戦いも終わったことだし、自分の馬バヤールを取り戻すべく、グラダッソを追いかけてアフリカへ渡っていた。そこで出会ったのは自国の防衛をほっぽらかしていなくなっていたはずの仲間たち。ま、出会ったとき、全然関係ないことしてたらリナルドもキレたと思うんですが、彼らは彼らなりにフランスのための戦いをした(ことになっている)ので、怒ることもできず。
 しかもグラダッソはすでにオルランドゥに倒されていた。
 自分の馬は取り戻せたものの、なんだかオルランドゥに借りが出来たみたいで、ちょっと釈然としないリナルド。て、いうか、もし彼が決戦に赴いた3人の中にいたら、この戦い誰も死ななかったと思うんだよね。フロリマールとリナルドではかなり腕に差があるようなので。
 オリヴィエは馬の下敷きになったせいで重症だし。

 オルランドゥ「どうしたもんか。この傷では、とてもフランスまで連れ帰れん。」
 リナルド「このへんに医者はいないのか? おい、船頭。」
 船頭「ええ、医者というか、医術に通じた隠者はおります。ご案内しましょう」

と、いうわけで、けが人を担いで隠者のところへ。こうして、フランスの騎士たちとロジェロは出会う。今や、彼らは友情をもって出迎えられた。アグラマンも死んじゃったし。ロジェロは今ではキリスト教徒の仲間だし。

 戦いの後始末はいつだってサクサク進むもの。
 オルランドゥは、ロジェロに名剣バリサルドと、ヘクトルの武具を返し、リナルドには馬バヤールを返し、自分は自分の馬ブリリアドロと、名剣ドゥリンダナを取って、フランスに戻る準備をした。
 アストルフォは、これまで乗っていたヒッポグリフを空に離し、月に行っていらい魔力を失ってしまった角笛を手放し、アビシニア王から借りてきた兵士たちに褒美をやって帰途につかせた。

 ところで、オリヴィエの治療のための滞在、リナルドとロジェロは親友のように親しくなっていた。ロジェロはリナルドに、ブラダマンテへの思いを告げる。

 ロジェロ「ぜひ義兄さんと呼ばせてくださいッ!」
 リナルド「おお、いいぞ。お前くらい腕の立つ奴なら弟にしてやろう。」
 ロジェロ「本当ですかッ」
 リナルド「ああ、まぁ、今ンとこ予定の相手もいないことだし、親父たちも文句は言わないと…」

 だがしかし。
 ちょうどその頃、リナルドのいないフランスで、リナルドの両親は、求婚の知らせを受け取っていた。
 ギリシア皇帝コンスタンチヌス(いかにもな名前だが…皇帝って)の皇子レオが、ブラダマンテの美しさと強さを聞きつけて、是非とも我が花嫁にと申し入れてきたのだ。相手としては申し分なし。しかし、家長であるリナルドの父・エイモンは、息子が戻るまで正式な返事は保留にさせてくれ〜、と、言っておいた。

 リナルドたち、フランスの勇士一行が戻ってきたのは、ちょうどその後のことだった。
 シャルルマーニュの前にひざまづいたリナルドは、ロジェロを紹介した。こうしてロジェロはフランスの勇士たちの中に座を占めるようになり、アフリカの異教徒勢をおっぱらった祝いの宴は、華やかに執り行われた。

 …ラブストーリーはここからである。
 リナルドは、ブラダマンテとロジェロを結婚させようと思う、と両親に告げる。しかし両親は、ブラダマンテをギリシアの皇后にしたいと思う、何せロジェロには国は無いし家は無いし。血筋は立派でも、ハッキリ言って実の無い男である。特に彼ら兄弟の母・ベアトリーチェ殿はご立腹だった。リナルドやらブラダマンテやら激しいお子達を産んで育てて御してきた人である…。あのブラダマンテが、涙ぐむだけで反抗しない?! 否、反抗したら殺される?

 ブラダマンテ「どうしよう、兄さん」
 リナルド「どーしょーっかなぁー…。」

 と、困り果てていた頃、ロジェロは1人、ギリシアへと旅立っていた。
 これまで、攫われては助けられ、攫われては助けられしてきた王子様、愛のために自ら立ち上がる。そうだ! 彼女はお前の力で手に入れるんだ。

 人の恋路を邪魔する奴は、剣に斬られて死んじまえ。

 ギリシアの皇子なにするものぞ。人の恋人、横から掻っ攫おうとしてんじゃねーよ!!
 馬を駆り、ひとり胸にアツい思いをくゆらせながら往くロジェロ。彼が見たものは、ギリシア軍とブルガリア人とが衝突する戦場。
 ちりぢりになって敗走するブルガリア人を見て、ロジェロの胸に怒りが湧き上がった。レオ皇子が憎いばかりに、ギリシア人そのものが憎らしくなっているらしい…。
 「おのれギリシア軍! 貴様らの好きにさせるかっ」
人様のケンカに勝手に割り込むロジェロ…。で、勝手にブルガリア人を指揮しはじめるばかりか、自ら先陣きって殴りこみかける、ときたもんだ(笑)

 これを見てブルガリア人びっくり、ギリシア人どっきり。1人でギリシア軍を追っ払って、ひとしきり暴れたあと、姿を消してしまった。
 ギリシアの皇子レオは、(自国軍が殺されてるのに)見知らぬ騎士の腕前に感嘆をもらす。「すばらしい。あのような腕前の友が欲しいものだ」
 友達、いなかったんスか。めぐまれないっスね…。

 さて、ここからである。
 ギリシア皇子の呪いなんだか、もともとの運なんだか、戦いのあと疲れを癒すため納屋に入り込み、寝ていたロジェロ。
 たまたまそこにやって来たギリシア兵に見つかり、とッつかまって、皇帝陛下の前に引きずり出されてしまった。皇帝の妹テオドラ殿は、さきの戦いで、ロジェロに息子を殺されている。
 「うんとむごたらしい方法で殺してあげるわッ、それまで城の地下にでも放り込んでおいでッ!」
 と、激しい怒りとともに申し付けた。
放り込まれたロジェロ君…。つくづく、よく捕まる人だよ、君は…。

 ロジェロの胸に、ブラダマンテとの約束が押し寄せる。
 このまま、敵陣で誰にも知られずに朽ち果てるのか?! それとも。―すれ違う2人の運命が、今、最後のステップへと向けて激しく動き出す!


 …本当に捕まりすぎだよね。ロジェロ…。


前へ戻る次へ