シャルルマーニュ伝説
-The Legends of Charlemagne

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つっこみルネッサンス

決戦の時〜リナルド編



 かくしてアストルフォ率いるヌビアの軍の前に、アフリカ軍は不意打ちを食らった。アビシニア軍の数が多いのもさることながら、ようやく戦線復帰したオルランドゥやオリヴィエ等、主要騎士も揃っている。
 アグラマン王だって、自分とこの首都が取り囲まれてヤバいって時にフランス攻めしてる場合じゃー無かった。
 だが、シャルルマーニュはといえば、自国の味方が他にもいることを、つゆほども知らなかったのである。

 「一騎打ちで決めようではないか。この戦いは長く続きすぎた。」

ここまで引っ張っといて、戦争を一騎打ちで決めるってのは、どーだろう。決闘制度の使用法間違ってるんじゃないのか。
 とかいうツッコミは置いといて、この申し出に喜んだのは、むしろ現在優位に立っているシャルルマーニュだった。
 待ったナシの一発勝負、この戦に勝ったほうが勝利者となる。この約束をたがえることは騎士の名折れ……。

 さて、このときロジェロは、まだサラセン人の陣営に居た。
 もともともそっちの陣営の人じゃないワケだし、キリスト教徒になろうとか思ってるんなら、いい加減、離れてもよさそうなものだが、一度主君として従ったからには、見捨てていくのは彼自身の名誉に関わることだと思っていたのだ。
 そんなロジェロに、一騎打ち出場の白羽の矢が立った。
 何でかって? サラセン陣営に残ってる戦力の中で、いちばん強いからまともに戦えそうなのが彼一人だけだったからである。
 対するシャルルマーニュ側が出したのは、リナルド。そりゃそうだ、みんなアフリカに行っちゃってるんだもん(笑)

 この対戦カードを知ったブラダマンテは、兄と恋人が戦わねばならないのを知って嘆いた。
 「ああ、私はどうすればいいのでしょう。」
 と、そんなとき女魔法使いメリッサ登ー場ー!
 「心配しなくていいわシンデレラ、じゃない高貴な女騎士よ、私がこの戦いを終わらせてあげましょう」
 「ええっ、本当?!」
 「もちろんですとも。そなたは安心して見ておいでなさい。」
…勝手に人様の真剣勝負に介入するのか。マーリンの使い。
 恋する乙女の前に、国の名誉なんか最早どーでも良かった。

 さて、影でこんなたくらみが進行していることなどツユ知らず、男たちはイソイソと決戦の準備に取り掛かった。
 武器は、この日のために作られた特注:戦斧である。
 ゲルマン民族かよ!!
 ヴァイキングなら孤島で斧で勝負だろーが、騎士なんだから剣で戦え〜! (かなり絵的にヘンです)

 だが彼らはマジメに斧で戦いはじめてしまったのだ。打つ・殴る・叩き斬る! 優雅さとか求めちゃいけない。力と力がぶつかりあう、そこはまさしく決闘場。
 恋人の兄(将来結婚した義兄さんと呼ぶべき人)が相手と知って、本気になれないロジェロに対し、リナウドはいつだって本気だった。相手が優れた騎士と尊敬もするからこそ、手加減は失礼!
 ロジェロはいつもの力を出せないままに追い込まれていた。
 それを見たアグラマンは、焦りだす。このままでは自国勢が負けてしまう。…と、その時だった。

 「何をしている、我が主君よ。あんな青二才に軍の命運を預けねばならぬほど、あなたの元には勇士がいないとお思いか」
現れたのはロドモン。そう、アグラマンとケンカして飛び出し、イサベラをてごめにしようとして失敗し、貞操を守るため自害したイサベラの供養をすると言って弁慶刀狩ばりの悪業を尽くしてブラダマンテに成敗された、あのロドモンである。※実際はメリッサの変身。

 しかし幻影の術を見破れないアグラマン、本物のロドモンだと思い込み、大喜び。
 「おお、ロドモン! 戻ってきてくれたのか」
 「ともに戦いましょう、王よ。この俺が戻ったからには、キリスト教徒なんかお茶の子さいさいです。つまんない協定など無視しておしまいなさい」
そうだよね。アンタたち、そもそもキリスト教徒じゃないもんね。騎士道精神なんかに従わなくてもいいんだよね。^^;

 勝てるんだったら、どうでもいい
 協定? 約束? 何だソレは。金ほどの価値もあるものなのか。
 「各自戦闘態勢に入れ。目標:シャルルマーニュ軍、目的:敵部隊の殲滅。ロドモンに続け、全速ー前進!」
 「うおおー!」
 突然の裏切りと奇襲、応戦するフランス軍。戦っていた二人は、驚いて振り返った。

 リナルド「どうなってんだよ、オレたちのことはそっちのけか?! 先に手を出したのはどっちだ!」
 ロジェロ「神聖なる騎士の決闘を汚すとは!」

その時、すでにメリッサは幻影の術をといて姿をくらませていた。
 こうなっては、もはや戦いを止めるすべは無い。
 フランス軍vs.アフリカ連合軍の総力戦。勢いではフランス軍が勝り、ほどなくしてアフリカ軍は敗戦。アグラマンは、生き残った兵たちとともに、フランスからの撤退を余儀なくされるのである。


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